球団としては10年ぶりの高卒ドラフト1位で入団した小園健太。4年目の今シーズンは7月にやっとプロ初勝利をマークしたが、その後はコンディション不良にも見舞われ勝ち星はそれだけに終わった。
「勝負の年」と位置づけた今季は「キャンプからオープン戦とすごく良かったんですけど、シーズン最初のローテションに入れなかった」と強力な先発陣に割って入れなかったことを悔やむが「それでもしっかりとファームで結果を出し続けることが一軍に上がるためには大事なことと、腐らずにやれたことは良かった」と自己評価。ただし「一軍で投げた後ぐらいから、ちょっとづつ上半身に違和感が出てきてしまいました。試合でバッターを抑えるイメージがついてきたのですけど、身体がついてこない部分がありました。日頃のケアはやっていたつもりだったのですが、もっと徹底してやらないといけないなと思いました」とコンディションを整えられなかったことを反省する。
反面「いままでは1イニングで一生懸命になっていたところを、9イニングのトータルでのピッチングを構成できるようにはなってきた」とファームながら成長を実感。「こういうピッチングをすれば長いイニングを投げられる、こういうカウントでこういうところに投げれば、バッターはこういう風に打ってくる」と掴んだ経験をもとに「一軍のレベルでもできるように上げていきたい」とブラッシュアップを誓った。
同年齢の大卒がプロ入りしてくる来季は「本当にやらなければならないと思っています。去年のオフ以上に追い込みたい」と決意。現在はリハビリ中だが「前の身体に戻すのではなく、パワーアップした状態にして、健常に戻していきたい」と意気込む。投球面では「上から叩く真っ直ぐを投げるために、そこに一番立ち帰れるボールがカーブ」と原点に回帰し、特徴的な大きく曲がるカーブにフォーカス。そのうえで「スピードも上げていきたいです」と高出力化を狙い、高校時代から取り込んでいるピッチトンネルを通して打者を翻弄するプランニングを明かした。
ターゲットはズバリ先発ローテーション。「外国人が抜けるかもしれないので、そこに食い込む若手の一人でありたい」とギラリ。また同期入団で同い年の深沢鳳介に「来年から支配下ですし、負けたくないのはもちろん」としながらも「彼がこの2年間苦しんでいたのも、友達としても近くで見ていました。一軍で投げてほしい気持ちもあります」とトミー・ジョン手術からの復活を目指す“親友”への想いを吐露する。究極目標は「お互いに切磋琢磨して、一緒にローテーション入り」を掲げた。
入来祐作二軍投手コーチも「ローテーション候補として名前の上がる存在」と認めつつ、東克樹、石田裕太郎、武田佑、平良拳太郎、大貫晋一、篠木健太郎の名を列挙し「それは自分で掴むものですから」と親心からか、厳しい言葉を発した。
厳しいチーム内の争いに勝ち抜くため、プロスペクト右腕は18を背に己を磨く。
写真・文・取材:萩原孝弘