大きな声でベンチを盛り上げる“声”に注目が集まるロッテ育成2年目・富山紘之進だが、プレー面でも前年の16試合を上回る45試合に出場し、攻守に成長を見せた。
『8番・捕手』で今季初出場・初スタメンとなった3月20日のオイシックス戦、第1打席にライト前に安打を放ち、今季初安打をマークすると、守っても5回までオイシックス打線を2失点にまとめ、勝利に貢献した。
この試合を最後にしばらく、スタメン出場から遠かり、バッティングでは6月10日終了後に打率.091まで落ち込んだ。6月12日のDeNA二軍戦でマルチ安打を記録すると、7月3日の楽天二軍戦でも2安打、同日から3試合連続安打で打率.280まで上げた。
「バッティングは本当にたまたまなんですけど」と謙遜しながらも、「最近は変えた部分で言うと短く持って、2ストライクからは変化球が頭に入ったりするんですけど、真っ直ぐきた時に、バットに当てられるように。ヒットにしなくてもいいからファウル、ピッチャーに球数を多く投げさせると言うのを心がけて、今は簡単には終わらないイメージで立っています」と打席で簡単に打ち取られないことを考えた。
守っても、今季5度目のスタメンマスクを被った7月3日の楽天二軍戦では、先発・秋山正雲(3回・1失点)、岩下大輝(2回・無失点)、一條力真(1回・無失点)、国吉佑樹(2回・無失点)、西村天裕(1回・無失点)と、5人の投手を9回1失点に抑える好リード。
「ブルペンデーみたいな感じだったので、早いイニングでピッチャーが変わって、先発だと長いイニング投げるじゃないですか、バッターも毎回違うピッチャーと対戦するので、球種とかが変わったりするので、攻めやすかったのは攻めやすかったです」。
『7番・捕手』でスタメン出場した7月6日のヤクルト二軍戦でも、6回までマスクを被り、森遼大朗(2回)、中村亮太(2回)、一條(1回)、ゲレーロ(1回)を無失点に抑える好リード。
フレッシュオールスター前は、捕手でスタメン出場した試合は7試合だったが、フレッシュオールスター明けは21試合でスタメンマスクを被り、9月は「松川さん、植田さんが一軍でプレーしていて、ベテランの人たちがいる中で試合数が増えてきています。自分の中ではミスとかしてもいいからやれることはやろうという気持ちでやっています」と、17試合でスタメン出場した。
試合後も、「基本的には映像を見たりとかして、自分が“あっ”と思ったところを重点的に見て、そこを改善するにはどうしたらいいのかと言うのを考えたりします」と振り返りを行った。
その中で大切にしていることについて富山は「ミスしたなら、今日のミスをイメージして練習したり、その試合を1試合全部振り返って今日はどうだったか配球のところで変なところがなかったのかを映像で確認しながら、ノートに書いてまとめたりしています」と話す。
反省したことを次の試合に活かし、その中で、田村龍弘、柿沼友哉といった一軍の経験が豊富な捕手からも助言をもらった。
「田村さん、柿沼さんにもアドバイスもらったりして、球種の使い方だったり、教えてもらえるので次の試合でもそういうことを活かすためにノートにまとめて、それを意識してやっていますね」。
注目すべきは、富山の強肩を活かした盗塁阻止。8月28日のオイシックス戦では1試合に2つの盗塁を刺した。
「感覚は良くなってきた感じがします。刺せなかった時も感覚は悪くないので、狂わず同じところに投げることを意識してやっています」。
バッティングでも、オールスター明け、「あれはたまたまなので、意識せずヒットを狙って打席は考えています」と8月16日の日本ハム二軍戦、3-1の8回無死走者なしの第2打席、池田隆英が3ボール1ストライクから投じた5球目の148キロストレートをレフトへプロ初本塁打。それも日本ハムの一軍の本拠地・エスコンフィールドで放ったものだった。スタメン出場が増えた9月、月間打率.167と継続して打つことが今後の課題になる。
シーズンオフも休むことなく富山は、11月22日から12月18日にかけて『ジャパンウィンターリーグ アドバンス2025』に参加する。実戦経験を積んで、良い形で3年目に繋げていきたい。
取材・文=岩下雄太