巨人・山瀬慎之助 (C) Kyodo News

◆ 白球つれづれ2025・第47回

 おらぁ、しんのすけだ。野原でもない。阿部でもない。山瀬慎之助だ。
 ちょっと、納得のできない事情があって、ぶんむくれているんだ。

 巨人の山瀬慎之助捕手が今月17日に行われた契約更改交渉を保留して話題を呼んでいる。

 通常、2軍選手の契約更改と言えば、球団側の提示額にすんなりと判を押すケースがほとんど。来季も契約してもらえると考える選手が多いからだ。しかし、山瀬の場合は止むにやまれぬ特殊な事情があった。

「結果を出してもチャンスがもらえないのが、一番つらいと分かった」
「話し合いの中で“わかりました。来年頑張ります”とはなれなかった」

 そこには巨人ならではの、悩みと問題点が浮き彫りになっていた。

 山瀬は19年ドラフト5位で入団した6年目の24歳。石川・星稜高時代には現ヤクルトの奥川恭伸投手とバッテリーを組んで甲子園でも活躍した記憶が残る選手だ。

 過去の5年はファームで腕を磨いてきた。強肩はチームでも屈指ながら、打撃力が弱く1軍の壁は厚かった。

 だが、今季はファームの正捕手に急成長。懸案の打撃でも昨年の打率.219から.302と数字を跳ね上げた。通常なら1軍に昇格の話があってもおかしくないが、山瀬の1軍出場は10月に1試合だけ。これでは不満がたまっても不思議ではない。

 この理不尽にも思える扱いは巨人捕手陣の飽和状態によるものだ。

 昨年オフにソフトバンクから甲斐拓也捕手を獲得。一説には3年12億円とも、5年15億円とも言われる高額契約は阿部慎之助監督のたっての希望による補強策だった。

 この時点で前年まで正捕手格だった岸田行倫、大城卓三選手らが控えに回る。甲斐が8月に右手中指の骨折で戦列を離れても、岸田が起用されると、大城に次いでベテランの小林誠司選手が穴を埋める。つまり、どんなにファームで実績を上げようが山瀬の出番は回って来なかった。

 実力がすべての世界。1軍への抜擢がないと言うことは山瀬の実力がまだ不足という見方も出来る。一方で優勝争いから後退していく中で1軍の首脳陣には、先々を見据える余裕がなかったのかも知れない。

 近年、巨人でも勝利至上主義から若手育成の重要性も同時に語られてきた。だが、昨年は甲斐だけでなく、ライデル・マルティネスや、田中将大らの大物選手をまとめて獲得。50億円補強と呼ばれた。その一方で若手育成策はほとんど進まず課題を残した。

 今オフには桑田真澄2軍監督が球団のフロント入り要請に反発して退団。二岡智宏1軍ヘッドや駒田徳広3軍監督ら阿部態勢の主要幹部も揃って退団するなどチームの屋台骨が揺らいでいる。

 フロントでも吉村禎章氏を球団初のCBO(チーフベースボールオフィサー)に起用、水野雄仁スカウト部長を編成本部長に抜擢するなど組織から刷新を進めている。だが、肝心の選手育成のための風通りの良さも今まで以上に進める必要がある。

 山瀬のような2軍選手の契約保留は珍しい。立場上、球団側から見れば「吹けば飛ぶ」ような存在かも知れない。過去には同様なケースで球団に“飼い殺し”にされた例もある。

 それでも山瀬は思いのたけを報道陣にぶつけている。

「若い時間の今がめちゃくちゃ大事。今すぐ(1軍の)試合に出たい。他のチャンスがあるなら、という気持ちも伝えました」

 今季の推定年俸は680万円の2軍捕手が引き起こした「反乱」を円満解決するには、次回の話し合いで球団側が明確な先行きビジョンを示すことが肝要だが、それも無理なら12月8日に予定される現役ドラフトやトレードで解決の道を探るしかない。

 岡本和真、村上宗隆、今井達也選手らのメジャー挑戦には、200~300億円の巨額交渉が伝えられる。その一方で、出場機会を求めた小さな反乱。

 これもまた、プロの世界の一面である。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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