ロッテ本拠地「ZOZOマリンスタジアム」(C)Kyodo News

 25日に2025年度のベストナインが発表され、ロッテからの受賞者は誰もいなかった。ロッテは三井ゴールデン・グラブ賞でも受賞した選手は誰もおらず、ベストナインとゴールデン・グラブ賞、両方で受賞者がいなかったことになる。なお、球団ではベストナイン、ゴールデン・グラブ賞、両方の受賞者が出なかったのはリーグ2位に入った2020年以来5年ぶりとなる。

 2020年はチーム失策数がリーグ最少の53にもかかわらず、ゴールデン・グラブ賞の受賞者がいなかったときは驚いたが、今回のベストナインもロッテの選手たちの得票数の少なさに驚いた。

 捕手部門では、パ・リーグの捕手登録の選手で、高卒2年目の寺地隆成が唯一規定打席に到達した。シーズン終盤の失速はあったものの、打率は2割5分を越えた。高卒2年目で3番手捕手の位置付けで開幕一軍を迎え、4月18日の楽天戦でプロ初本塁打を含む1試合2ホーマー、守ってもボスを来日初勝利に導く好リード。佐藤都志也の打撃不振や故障などもあったが、この試合をきっかけに出場機会を増やし、バットでは交流戦前までの打率.286。オールスター前までの打撃成績は打率.274、5本塁打、22打点の成績を残して、自身初のマイナビオールスターゲーム2025に出場した。

 10月3日の取材で寺地は「そこ(打率2割8分)をしっかりキープしたかったなというのは思います」と話したように、オールスター明けの打率は.229、0本塁打、11打点と数字を落としてしまったが、9月22日の日本ハム戦で、「嬉しいです。去年ファームだったら99安打だったので、100安打の壁があったと思うんですけど、一軍の舞台でしっかり100安打打てたことは次に繋げられるのかなと思います」と、球団の高卒2年目以内では、21世紀以降初となるシーズン100安打を達成。

 打率.256、106安打、5本塁打、33打点の成績で終えた。高卒2年目というフィルターを外したとしても、打率2割5分以上、100安打以上放っているのは立派。ベストナインを受賞した若月健矢(オリックス)は規定打席に届かなかったものの、打率.272、100安打、6本塁打、31打点、5月までに3度のサヨナラ打を放ったインパクトある活躍を見せたので、若月と寺地の一騎打ちになるかと思われたが、若月が169票に対して寺地は僅かに11票。寺地の方が打撃成績全て上回っていたにもかかわらず、39票の海野隆司(ソフトバンク)よりも得票数が少なかったのは気になった。寺地は後半戦、指名打者での出場することもあったので、そこが影響しているのか。ちなみに寺地の捕手で出場したのみの打撃成績は、打率.270(296打数80安打)、4本塁打、23打点だった。(※代打から捕手も含む)

 内野部門はソトがチーム最多の13本塁打、44打点をマークだったことに加え、規定打席に到達した選手はおらず、内野手部門でロッテの選手の得票数は1票もなし。外野手部門はリーグトップの27二塁打を放った西川史礁が46票で5位、7年目で今季初の規定打席に到達した藤原恭大は僅かに1票だった。

 チーム打撃を見ても、チーム打率と本塁打と得点はリーグ5位の.241、73本、441得点、13本塁打・44打点のソトが本塁打と打点でチームトップだったので、ベストナイン受賞者ゼロは仕方がないのかもしれない。

 藤原、西川、髙部瑛斗、寺地、佐藤都志也、山本大斗など来季以降、ベストナイン獲得に期待が持てそうな選手が多くいる。リーグ優勝した74年と05年にはベストナインを4人輩出した。来季は1人でも多くベストナイン受賞者が出ることを期待したい。

取材・文=岩下雄太

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