楽天は今オフ、的確な補強を行なっている。
26日に日米通算165勝の前田健太を補強。タイガースでプレーした今季は7試合に登板して、0勝0敗、防御率7.88だったとはいえ、楽天の先発防御率はリーグワーストの3.72。規定投球回に到達した投手は誰もおらず、今季、チームで最もイニングを投げたのが藤井聖の109回2/3、次いで大ベテランの岸孝之の109回。早川隆久、荘司康誠といった期待の若手、中堅はいるが、先発の頭数は足りていないことに加え、長いイニングを投げられる先発が少ない。リリーフ陣に負担がかかっているというのが状況だ。どこまで計算できるかは未知数だが、実績もあり、先発が足りていないというところでは的確な補強と言えそうだ。
それは、FAで獲得した伊藤光にも言える。伊藤光はDeNAでプレーしていた今季、山本祐大をはじめ、ベテランの戸柱恭孝、若手の松尾汐恩と捕手の競争が熾烈で出場試合は僅かに6試合だった。
一方、来季からプレーする楽天の捕手事情を見ると、今季チーム最多のマスクは太田光の111試合、次いで堀内謙伍の76試合、次いで石原彪の31試合。先発マスクでいうと、100試合以上被った選手はおらず、太田光の81試合が最多だった。今季一軍出場のなかった“打てる捕手”として期待のかかる安田悠馬はいるが、経験のある捕手が少ない。
ベテラン捕手の獲得は納得がいく。ドラフトで1位・藤原聡大(花園大)、同2位・伊藤樹(早稲田大)と即戦力投手を指名しており、若手投手が先発の時に、経験のあるベテラン捕手を先発起用できる側面もある。
さらに外国人では、メジャー通算通算95試合に登板して、10勝16敗、防御率4.77のロアンシー・コントレラス投手を獲得している。
前田健太が来年38歳、伊藤光が来年37歳の年齢にあたり、島内宏明、阿部寿樹といった伊藤光と同学年の選手を戦力外にし、若返りを進めるチームの中でベテランの補強はどうかと思うファンもいるかもしれないが、ウィークポイントを的確に穴埋めする補強と言えるのではないだろうか。