「本当に勝負の年と思っているので、やっぱり自分からしっかりチャンスをものにして、一軍で1年間結果を残せるように。3年連続で40試合以上投げた時よりも、もっとやらないといけないと思うので、オープン戦からしっかり結果残して、アピールして1年間戦えるように頑張りたいです」。
ロッテ・小野郁は2月の石垣島春季キャンプで、今季に向けて並々ならぬ想いを口にしていたが、ブルペン陣では唯一開幕から1度もファームに落ちることなく、戦い抜くなど“完全復活”を印象付ける1年になった。
25年シーズンに向けて、シーズンオフの自主トレでは、1年間戦うための体力づくりをテーマに取り組んできた。春季キャンプは石垣組で過ごし、2・3月の練習試合、オープン戦で8試合・8イニングを投げ、イニングを上回る12奪三振、防御率2.25の成績を残し、2年ぶりに開幕一軍を掴み取った。
「まだ(開幕一軍に)入っただけだと思っているので、しっかり結果を残して、最後まで一軍で投げられるように頑張りたいと思います」。
開幕してからはビハインドゲーム、先発投手がイニング途中で降板した後の2番手、勝ちゲーム、同点とさまざまな場面で腕を振った。
5月18日の日本ハム戦では、1-1の12回に登板し1回を無失点に抑え、その裏、西川史礁のサヨナラ打に繋げた。吉井理人監督は試合後、「よく言われますよね、三者凡退でリズムがというんですけど、その通りになってくれて良かったです」と褒めた。
5月31日の日本ハム戦では、今季初めて3-1の勝ち試合の7回に登板。「勝っている試合を任されているので、やりがいもありますし、これからもそういうところでいっぱい投げられればなと思います」。一死走者なしから奈良間大己にライト前に運ばれたが、五十幡亮汰を154キロのストレートで空振り三振、郡司裕也を二ゴロで無失点に抑え、ホールドを挙げた。
6月11日の広島戦では、「基本イニング途中はピンチなので、変わらないっちゃ変わらないですけど、より一層抑えないといけないかなと思います」と、2-2の10回一死一、二塁の場面で登板し、末包昇大を1ボール2ストライクから投じた156キロのストレートで遊ゴロ、菊池涼介を156キロのストレートで投直に仕留め、ピンチを脱した。
7月2日の楽天戦では自己最速となる159キロを計測するなど、前半戦は27試合・23回1/3を投げ、1勝2敗5ホールド、防御率2.31。
オールスター明けは、「まっすぐとスライダーを軸にして投げているので、いい時もあれば悪い時もあるし、もっと良くはできるかなと思います」と話しながらも、7月30日の楽天戦、5-7の8回二死一塁でボイトを2ストライクから空振り三振に仕留めた3球目の137キロ縦に落ちるスライダー、8月21日の楽天戦、11-7の7回先頭のボイトを2ストライクから空振り三振に仕留めた134キロ縦に落ちるスライダーが素晴らしかった。
ストレートも、「あまり落ちることもなく、まっすぐは維持できたというか、そんなに悪い方に変わるようなことはなかったのかなと思います」と話したように、8月9日のオリックス戦では2-2の7回二死一塁で中川圭太を2ボール2ストライクから空振り三振を仕留めた外角の155キロストレート見事だった。
8月26日のオリックス戦からは「理由とかはないですけど」としながらも、「体のバランスというか、投げているバランスがそれが一番良いので投げているだけですね」と、走者がいない時もクイック気味で投げた。
チェンジアップは9月25日のオリックス戦、6-0の8回無死走者なしで太田椋を1ボール2ストライクから141キロのチェンジアップで空振り三振に仕留めるなど、右打者にも投じた。シーズン終了後の取材で、「スライダーは警戒されているところがあるので、もっとスライダー、まっすぐを活かせるように、チェンジアップをもっと投げていきたいなと思います」と、来年はもっと投げていきたい考えを示した。
今季はシーズン通して、ブルペン事情が苦しかった中で、ビハインド、同点、勝ち試合の7回、先発がイニング途中で降板した時の登板など、さまざまなポジションで腕を振っているのは立派。
「1年間ずっといいことはほとんどないと思うし、良い時も悪い時もあったという感じです」と振り返り、「もっと三振取れるように。今年はそんなに三振取れていないので、ピンチの場面は三振で取れるようにしたいと思います」と課題を口にした。
今季は47試合に登板して、2勝2敗10ホールド、防御率2.59。
「勝っている場面でもっと投げたいですし、しっかり春からアピールしてできるんだぞ!というところを見せて、自分で勝ち取りたいと思います」。
「来年7年目になるので、今年から若い選手中心にやってきたので、そこに負けないように。自分がしっかりブルペン陣、選手を引っ張っていけるように。活躍できるように頑張って、リーグ優勝、日本一を目指してやっていきたいと思います」。
来季は勝ち試合での登板を1試合でも増やし、チームの勝利に貢献していくつもりだ。
取材・文=岩下雄太