ロッテ・和田康士朗(撮影=岩下雄太)

 「悔しいシーズンでしたね」。

 ロッテの和田康士朗は21年に盗塁王に輝くなど、支配下選手登録された20年から5年連続で2桁盗塁をマークしてきたが、今季は支配下登録後、自己ワーストの17試合、打率.125、盗塁は0に終わった。

 和田は昨年の秋季練習で、センターから反対方向、バットの内側から出すことを取り組み、自主トレ期間中もその意識を継続し、バットを振った。「秋で色々ちょっとダメな部分とか、よかった部分がちょっと少しずつわかってきたので、その意識を残しつつやってきたっていう感じですね」と、オフの間に自身の打撃を見つめ直してきた。

 「フライをあげたら足も活かせないので、まず転がしてライナー打つのが1番ですけど、まずはフライを打たないようなバッティングをしたいなと思います」。打撃の軸、幹となる部分もしっかりと整理。

 石垣島春季キャンプでは全体練習後、「もう本当にそろそろチャンスもなくなってくる年齢になってくるので、危機感を感じながらっていう感じです」とほぼ毎日、室内練習場横のマシンを相手に2時間近く打ち込んだ。

 2月11日の紅白戦、0-0の初回二死一、二塁の第1打席、「練習通りの打球が打てたかなと思います」と、田中晴也が1ボールからの2球目のレフト前はこれまで取り組んできた形の安打。続く0-0の4回無死二塁の第2打席、田中楓基が1ボール2ストライクから投じた5球目を打ちにいき進塁打。一死三塁となり茶谷のライトへの犠飛に繋げた。しかし、本人は「最終的にはランナーを進塁打のサインだったので、進められて良かったんですけど、欲を言えば初球、2球目がファウルだったので、そこで進められれば良かったかなと思います」と満足せず。

 紅白戦後には「打てない時期が何年も続いている。周りのみんなは僕に期待はしていないと思うので、期待をしてくれるようなバッティングができるように頑張りたい」と、1人黙々とマシンを相手に1時間近く打ち込んだ。

 石垣島春季キャンプ中の和田を見て、今季に向けての危機感、覚悟というものが非常に伝わってきた。和田本人も「そろそろ足も衰えてくる年齢に近づいてくるかなと思うので、バッティングでアピールしていかないと生き残っていけない。バッティングを一番に頑張りたいなっていう思いです」と覚悟を示した。

 練習試合が始まってからは、2月20日のDeNA戦、3-0の2回二死一塁の第2打席、大貫晋一が3ボール0ストライクから投じた4球目の133キロツーシームをライト前に弾き返す安打を放つと、髙部瑛斗が放ったセンターへの打球を梶原がダイビングキャッチを試みるも、グラブで弾き打球が転々としている間に一塁から長駆ホームイン。2月23日の韓国・ハンファ戦で3安打、3月1日の韓国ロッテ戦では1打席目に三振に倒れたが、「変化球の対応が毎年課題なんですけど、変化球でやられてしまった。ヒットを打ったのは左のスライダー、カーブとか曲がり球でしたけど、あれでいい感じでちょっとわかってきたというか、ちょっとタイミングが真っ直ぐとは違うので、ちょっとの誤差を埋めるためにどう対応していくのかというので、少しずつですけど、まだまだ勉強中かなと思います」とその後2安打とバットでアピールした。

 3月に入ってからは教育リーグで打席数に多く立ち、「結果が出たとは言えない数字なので、まだまだだと思いますけど、あの期間、試合に出て収穫もあったので、今シーズンに活かせていけたらなと思います」と振り返りながらも、3月6日の日本ハム二軍戦、3月12日のオイシックス戦でマルチ安打。3月18日に一軍合流すると、23日の巨人とのオープン戦でも安打を放った。

 「毎年言っていることなんですけど、チームとして求められている役割の仕事をしつつ、ポンとスタメンで行ったときにしっかり結果を残せるような準備をしていけたらなと思います」。

 今季も開幕を一軍で迎えた。レギュラーを目指してきた中で、開幕からの役割は代走・守備固め。打席が少ない中で打撃練習では「練習しても目というのは慣れないと思うので、マシンで速い球を打ったりして慣れさせていかないという感じですね」と、試合を想定して準備した。

 4月25日の日本ハム戦、1-1の7回一死一、三塁で三塁走者・ポランコの代走で登場すると、寺地隆成のファーストへのスクイズで決勝のホームを踏んだ。12試合に出場して、4打数0安打と少ない打席数でアピールできず、4月28日に一軍登録抹消された。

 ファームでは5月9日のDeNA二軍戦では第3打席にウォーキング打法、第4打席にバスターウォーキング打法、5月11日のDeNA二軍戦ではいつもの打撃フォームに戻り、5月16日のヤクルト二軍戦でヒッチした打撃フォーム、5月25日の楽天二軍戦からは「ポイントが前すぎたので、詰まる意識をつけるのとという感じですね」と、トルピードバットで打つなど、試行錯誤した。

 その中で、6月4日のオイシックス戦、7-6の8回二死二塁の第1打席、伊禮海斗が2ボール2ストライクから投じた139キロのストレートをライトオーバーの適時二塁打、6月20日の西武二軍戦、6-3の6回二死走者なしの第3打席、糸川亮太が1ボール2ストライクから投じた4球目の145キロストレートをライト線に二塁打、6月22日の西武二軍戦、0-3の6回一死走者なしの第3打席、松本航が投じた初球の130キロカットボールをライト線に二塁打は良かった。

 「足では上がれないと思うので、足だけじゃない何かをアピールしないといけないと思います。しっかり頑張りたいなと思います」。

 オールスター明けも、7月27日のDeNA二軍戦、3-0の6回二死一塁の第3打席、堀岡が1ボール1ストライクから投じた3球目のストレートをライト前に弾き返すライナー性の安打、8月10日のDeNA二軍戦では0-0の初回無死一、二塁の第1打席、小園健太が投じた初球のスプリットをピッチャー前にバント安打。

 8月以降は「自分の感覚の話ですね」と、トルピードバットではないバットに戻した。

 「一番は数が立てたというのがいい経験になったので、その中で自分が求める打球を増やせればいいかなと思いますね」。と、シーズン最終盤の9月25日に一軍に復帰。守備から途中出場した同日のオリックス戦、「練習してきたことが出せたのかなと思います」と、6-0の9回一死走者なしの第2打席、入山海斗が1ストライクから投じた2球目のストレートを逆らわずレフトへ今季初安打となる二塁打。

 今季の安打はこの1本のみ。優勝争い、Aクラス争いをしていた昨季までであれば、試合終盤の代走・守備固めで一軍でプレーできたが、今季は早々にチームは苦しい戦いが続き、なかなか和田を必要とする場面が訪れにくい環境だった。さらに西川史礁、髙部瑛斗、藤原恭大がレギュラーに近い位置まで上りつめ、山本大斗、岡大海、山口航輝など、外野の争いが熾烈になった。

 「自分もああいう場に入っていかなくちゃいけないので、追いつけるように頑張りたいと思います」。

 レギュラーシーズン終了後に行われたみやざき・フェニックスリーグに参加し、バットを寝かせたフォームで打った。来季に向けて、バッティングを掴んで終えられたのだろうかーー。

 「フェニックスあたりから色々変えて、いい時もあったり、ダメな時があったりが多かった。しっかりよかったものを自主トレで続けて、キャンプでまたやっていくだけかなと思います」。

 覚悟を持って挑んだ2025年シーズンだったが、悔しい1年に終わった。来季はこの悔しさを晴らす1年にしたい。

取材・文=岩下雄太

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