「自分のわがままで監督さんにお願いしてプロにいきたいという理由で、チームのために結果を出せるように、ピッチャーに専念させていただきました」。
ロッテのドラフト7位・田中大聖(Honda鈴鹿)は、社会人1年目まで投手と野手の“二刀流”で、投手に本格的に挑戦したのは今年が初めてと伸びしろ十分の右腕だ。
太成学院大時代は野手として首位打者、ベストナインに輝き、Honda鈴鹿に入社してからも1年目は投手と野手の二刀流としてプレー。
「昨年まで野手をやらせていただいていまして、今年1年、始まるタイミングで僕自身がプロ野球の舞台を目指してやっていました」。
投手としての伸びしろについて、「投手に専念したのが今年。本当にピッチャーをちゃんとやったのは今年が初めて。投手歴は1年目と変わらないので、まだまだわからないこともありますし、経験もこれから積めると思っている。たくさん成長できる部分はあるのかなと思います」と語った。
日本選手権ではヤマハ戦で自己最速161キロを計測するなど、ストレートが魅力。都市対抗と日本選手権の投球映像を見ると、日本選手権では投球フォームが走者がいない時にノーワインドアップに変更され、並進運動の時のフォーム(横の動き)も少し変わったように見える。
その理由について、「僕個人でパーソナルトレーニングを受けている方がいるんですけど、その方に大学時代からお世話になっていて、信頼しています。その方のトレーニングのおかげで成長した部分がすごくあります。僕が調子が悪いなという時に、しっかり話をして、トレーニングした中で、あのフォームが一番しっくりきました。自分の一番力を発揮できるフォームがあのフォームでした。自分でも言語化もできますし、どういう理由で変えたと話すと長くなるんですけど、自分でも理解しながらトレーニングした結果がああいうフォームになったのかなと思います」と説明した。
日本選手権では自己最速の161キロを計測。「ボールのキレ、強さを全然出せなかったのが都市対抗だったので、日本選手権の時は自分で調整できていましたし、体の調子もすごく良かった。そういうところが自分で理解できて、ダメだったところをわかってやっていたので、どうやったらダメになる、調子が悪くなるというのを理解して、日本選手権は臨めました。そういう部分は良かったのかなと思います」と振り返った。
決め球は「フォークが自分の中で決め球になるのかなと思います」と話し、「ロングで投げる時は球種をたくさん投げていたんですけど、短いイニングで投げる時は比較的球種を少なくしているので、、自分の一番自信のあるカットボール、フォークをすごい磨いてきた」と明かした。
プロ1年目の目標に50試合登板を掲げる。ロッテのブルペン陣に割って入るため、「ボールの強さというのはすごい大事なので、速球派がなかなかいないという中でも、自分の長所を伸ばして、アピールできたら全然あるのかなと思っています」と自信を見せた。投手歴は浅いが、最速161キロを計測するなど、どのような成長曲線を描くか今から楽しみだ。
▼ 田中大聖
生年月日:2002年1月29日生
守備位置:投手
身長 / 体重:178センチ / 98キロ
投 / 打:右 / 左
経歴:鶴岡東高-太成学院大-Honda鈴鹿-ロッテ(ドラフト7位)
取材・文=岩下雄太