メジャーリーグの公式サイトで常時公開されている『プロスペクトランキング』は、新人王の資格を持ち、将来の活躍が期待される若手選手を順位付けしたものである。
過去10年ほどを振り返ると、1位に選ばれた選手はメジャーでの活躍が約束されたようなもの。大谷翔平はエンゼルスに入団した2018年にトップに君臨し新人王を獲得。その後も、2019年のウラジミール・ゲレーロJr.や2022年のウィットJr.などがメジャーを代表する選手に成長している。
そんなプロスペクトランキングにおいて、23年に15位にランクインしたのが、ドリュー・ジョーンズというダイヤモンドバックス傘下に所属する外野手だ。2022年のドラフト1巡目(全体2位)で指名を受けた逸材である。
父はかつて楽天でもプレーした“AJ”ことアンドリュー・ジョーンズ。1996年に19歳の若さでメジャーデビューを果たした父は、同年のワールドシリーズで本塁打を放つなど、早くから活躍。メジャー通算434本塁打を放ったほか、ゴールドグラブ賞を10回受賞するなど、三拍子そろった強打者として鳴らした。
息子のドリューも身体能力や素質で父に負けていない。実際にドラフト全体2位指名を受けた際は、高卒選手として当時の新記録となる契約金(約800万ドル=現在のレートで約12億円)を勝ち取っており、父と同様に若くしてメジャーへの階段を駆け上がるとみられていた。
ところが契約した数日後にドリューを悪夢が襲う。マイナーチームに合流したその日の打撃練習中に肩を負傷。手術を要する重傷を負ってしまった。
翌年の2023年にようやくマイナー生活をスタートさせたものの、ケガの影響もあってかこれまで期待されたほどの成績を残せていない。
実質1年目となった23年はルーキーリーグから1Aの3つのレベルで合計41試合に出場し、打率.238、2本塁打、12打点、盗塁も9個にとどまった。2年目の24年は1Aで109試合に出場し、打率.275、6本塁打、65打点、21盗塁と、1年目に比べるとステップアップを果たした。
ところが3年目の今季は1Aと2Aの中間にあたるハイAで123試合に出場し、打率.255、5本塁打、56打点とやや足踏み。それでも盗塁数を28個に伸ばしたほか、マイナーリーグのゴールドグラブ賞を受賞するなど、走守で素質の片鱗をのぞかせている。
年齢的にも、11月に22歳を迎え、来季は2Aでプレーすることが既定路線。メジャー昇格に向けて、やはり打撃力の向上は必須となるだろう。
プロスペクトランキングの選手紹介によると、2027年にはメジャー昇格が予想されているドリュー・ジョーンズ。10代からメジャーリーガーとして活躍した父とは違う道のりにはなってしまったが、同じ大舞台に辿り着くことができるのか。プロスペクトランキング圏外に落ちてしまった“サラブレッド”の巻き返しに期待したい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)