ロッテ・上田希由翔[撮影=山下拓人]

 「特に後半戦、自分の中でも掴んだところも多かったので、それを1年間続けられるように。そこが課題だと思うので、来年は1年間一軍にいられるようにやっていけたら良いなと思います」。

 ロッテの上田希由翔はプロ2年目の今季、66試合に出場して、打率.211、3本塁打、20打点、得点圏打率は.333と勝負強い打撃を見せた。

 2年目の今季に向けて、シーズンオフは「バッティングがメインなんですけど、今までは左足を意識していた中でやっていて、それを活かすためにもう1回再確認するのと、右足でしっかり踏ん張ることも新たに取り入れながらやっていました」とのこと。

 自主トレは中村奨吾らと行い、「守備でもバッティングでもいろいろ教えていただきましたし、私生活の面でも面倒を見てもらっていたので、将来的には人物像としても目指していかなきゃいけないなと思いました」と、学ぶことが多かった。

 石垣島春季キャンプの打撃練習では、「自主トレの時もしっかり振り込む、打ち込むことをやっていたので、ライナー系で間を抜けていくような打球を求められていると思うんですけど、今はしっかり振り込んでそれが体に感じてきた中で打球の角度も変えていけたらいいなと思っています」と、角度のついた打球が多く、全体練習後にも、「修正するところもありつつ、しっかり強いスイングをするためにやっていました」と室内練習場で自分と向き合いバットを振った。

 「バッティングでアピールできるように頑張りたいと思います」と、今季初の対外試合となった2月16日の楽天モンキーズ戦に『4番・三塁』で出場すると、適時打を含む3安打1打点の好スタート。2月20日のDeNAとの練習試合で2打数2安打1本塁打4打点の大暴れを見せれば、24日の巨人とのオープン戦でもマルチ安打をマークした。

 3月に入ってからも、7日のソフトバンクとのオープン戦では、1-0の6回二死二塁の第3打席、濵口遥大が2ボールから投じた3球目のチェンジアップをセンターに適時打を放つなど、バッティングでアピールし開幕一軍を掴み取った。

 3月28日のソフトバンクとの開幕戦に『8番・サード』でスタメン出場し、第2打席に今季初安打となる二塁打を放ったが、4月11日のソフトバンク戦の第2打席に安打を放ったのを最後に16打席安打がなく、4月24日に一軍登録を抹消された。

 一軍登録抹消後の4月27日のDeNA二軍戦ではノーステップ打法気味の打撃フォーム、5月9日のDeNA二軍戦ではバットを寝かす打撃フォーム、6月14日の楽天二軍戦ではバットを寝かせているがバットを担ぐような感じのフォームで、タイミングの取り方を変えるなど、さまざまなフォームで打っていた。

 さまざまなフォームで打っていた理由について、上田は「手で操作するのをサブローさんから指摘してもらって、直す1つの方法としてバットを寝かせたりやっていました」と説明する。

 バットもファームでは、白木のバット、黒茶のバットなど様々な種類を使っていたが、「その時の振りやすい方だったり、ピッチャーによって変えていますね」と教えてくれた。

 昇格前の7月11日の楽天二軍戦、0-1の2回無死走者なしの第1打席、徳山一翔が1ボールから投じた2球目のスライダーを右中間を破る二塁打、7月12日の楽天二軍戦、0-4の8回無死走者なしの第4打席、日當直喜が投じた初球の145キロストレートを右中間に破る二塁打が良かった。

 7月15日に再昇格を果たすと、同日のソフトバンク戦の第1打席で二塁打を放ち、17日のソフトバンク戦、2-2の6回無死一塁の第3打席、「がむしゃらにいきました。同点に追いつかれて、流れも良くなかったので何とかしたいと思い、いい形で打つことができて良かった」とライトポール際に本塁打を放ったが、6回を終了せずに降雨コールドとなったため、得点が認められず、“幻”のプロ初本塁打となったが第1打席に二塁打、19日のオリックス戦ではプロ初の猛打賞を達成。

 「結果が出てくれているので、悪くはないと思いますし、常に修正しながらやっているので、そこは打っているからといって、何もやらずにじゃなくて、常に元のフォームに戻す修正だったり、スイング量も減らないように意識してやっています」。

 8月2日の西武戦、0-2の4回一死一塁の第2打席、1-2の4回一死一塁の第2打席、「高めは気を付けて、低めを打とうと思っていたのがいい形になりました。打った瞬間は入ると思わなかったですが、歓声で入ったのがわかりました。いい形で打つことができて良かったです」と、與座海人が1ボール1ストライクから投じた3球目の131キロストレートをライトスタンドに第1号2ラン。

 8月は「(チャンスの場面で)代打を送っていただけたら、しっかりランナーを還すのに務めたいと思っていますし、スタートから出ている時でも、なかなかチーム自体的にもそうチャンスは多くないと思うので、集中して打席に入れているかなと思います」と、得点圏打率は驚異の.500。30日のソフトバンク戦ではプロ入り後初めて4番の打順で出場した。

 9月5日の西武戦では、0-0の3回一死二、三塁の第2打席、「最低でも犠牲フライをと思い打席に入りました。うまく捉えることができて良かったです」と、先発・高橋光成が投じた初球のストレートを捉えた打球はグングンと伸びていきバックスクリーンに飛び込む第2号3ラン。9月8日のオリックス戦で2打点、9月20日の日本ハム戦で第3号2ランを放ち、10月4日の日本ハム戦、シーズン最終戦となった10月5日のソフトバンク戦、2試合連続安打で今季の戦いを終えた。

 出場試合数は前年よりも増えたが、「全部の面でまだまだ足りないなと感じます」とポツリ。昨季に比べて今季は「自分の課題として持っていた出塁率を上げるという点でも必要だなと思っていたので、後半ちょっと出塁率という面で落ちてしまいましたけど、四球というのは意識してやっていました」と、打席内での粘り、四球も多かった。

 秋季練習では「まだレベルとしてもまだまだなので、走塁、守備、バッティングにおいて、しっかり成長していきたいと思いますし、打率も実際満足のいくような結果ではなかったので、打率を上げるために、どうしたらいいか考えながら、その中で長打を出していけるように考えてやっていけたらいいなと思います」と話し、「アナリスト、栗原(健太)さんとミーティングして芯で当たる確率が少ないと言われたので、今はそれを意識しながらやっています。また、右ピッチャー、左ピッチャー、それぞれの苦手な球種もわかったので、それをつぶせていけるようにやっています」と明かしていた。

 都城秋季キャンプを経て、課題にしていた部分はどうなったのだろうかーー。

 まずは、確実性を上げながら長打を求めていく部分について、「西岡さんに指導していただいて、ポイントが前すぎて、それによってポイントが前だと見る時間も少なくなってしまいます。見極められるボールはあるけど、振ってしまったりというのがあるって言っていただいたので、都城ではポイントを近くしながら、その中でもパワーを出せるところを教えていただきながら、バッティングはやっていました」と説明。

 “苦手な球種の対応”については「いいところ潰して悪いところを上げていくのも違うなっていう話になって、そこは色々キャンプでもカーブマシンで見方を変えてみたり、内にきた球を打つのか、打つという認識で行くのか、そこは絶対振らないという認識で行くのか、ストライクゾーンをズラすのか、色々やりながら、これっていうのは決めきれていないですけど、掴めていけたらいいなと思います」とのことだった。

 来季はサブロー監督が就任する。「ファームの時から見ていただいているので、そこを自分も色々聞きながらレベルアップできるようにしていきたいと思いますし、変わって1年目なのでリーグ優勝、日本一目指してやっていきたいと思います」。来季こそ、サードのレギュラーポジションをモノにして見せる。

取材・文=岩下雄太

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