ブルペンで投球練習するロッテ・八木彬[撮影=岩下雄太]

 ロッテの八木彬は今季、シーズン自己最多の27登板、5ホールドを挙げたが、防御率は5.96。無失点の登板が多かった中で、1試合に大量失点しまう登板が多かったのが非常にもったいなかった。

 25年に向けて、自主トレでは「ランニングもそうですし、体幹だったり、ウエイトだったり全体的に負荷を高めてやっていました」とシーズンオフは体力強化を図った。

 その理由について「去年先発をファームでさせてもらったりして、もし先発する機会があれば、もっともっとスタミナをつけたりしないといけない考えがあったので、それも1つ。11月、12月はすごく追い込みましたね」と説明した。

 技術面では昨季の自主トレで体幹、胸郭を使いながら投げることを意識して取り組んできたが、昨季途中にツーシーム主体の投球に切り替えたこともあり、「コースの投げ分けだったり、最後の方は真ん中の方に投げて打たれるということが多々あったので、ピッチャーからラインを出していけるように。そういった練習をしてきました」とのことだ。

 「僕は今やらないといけない立場。初日からアピールして開幕一軍を狙っていきたいと思います」と危機感を持ち、石垣島春季キャンプを迎えた。2月9日のライブBPでは、20球を投げ安打性のあたりは0本に抑えるも、ボール球は10球だった。

 ツーシームについて「去年よりかは大胆になって、ちょっと攻めすぎたみたいなところがあるんですけど、細かいコントロールを意識してやっていきたいです。ラインが全然出ていないので、もう1個ゾーンに行けるように。ちょっと抜け気味だったので」と反省。その他の球種についても「ちょっと横ぶりになっている感じがあるので、そこも修正が必要だなと思いました」と課題を口にした。

 今季初実戦となった2月16日の楽天モンキーズ戦では「しっかり力を抜けて投げられている感じがあったので、これを継続していきたいと思います」と1回・14球を投げ、0被安打、2奪三振、無失点と最高のスタートを切った。

 「引き続きゾーン内でしっかりラインを出してツーシームを投げていけば、ゴロアウトだったりが増えていくと思うので、その確率を上げてアピールしていきたいと思います」と意気込み、2月24日の巨人とのオープン戦は3回無失点に抑えたが、3月2日のソフトバンクとの練習試合は2回3失点、3月8日のソフトバンクとのオープン戦は3回2失点とピリッとしなかった。

 3月16日の広島とのオープン戦で1回を無失点に抑えたが、開幕は二軍スタート。「出力が全然出ていなくて、ゾーン内に投げても外野に良い打球が飛ばされていて、たまたま正面に飛んでいるだけだった。コントロールもあまりできていなかった。点は取られましたけど、たまたま抑えられていたという感じでしたね」と振り返った。

 シーズン開幕してからファームの映像を見ていて、気になったのはストレートを再び投げるようになったこと。3月30日のヤクルトとの二軍戦では、1-0の8回二死一塁で内山壮真を1ボール2ストライクから見逃し三振に仕留めた4球目の外角154キロストレートが非常に良かった。

 昨年8月20日の取材で「自分の前の真っ直ぐは怖さがないというか、強さがあるけど怖さがない」という理由でツーシームを覚え、昨年秋の時点で「(ストレートを)投げる予定は今のところないですね」と話していた中、なぜ再びストレートを投げるようになったのかーー。

 開幕直後の4月4日の取材で「ツーシームを投げすぎて、体が開き気味になっていたので、それを戻すのに真っ直ぐを投げている感じです。強い真っ直ぐというところがあってのツーシームというところだと思ったので、まずは真っ直ぐをやっていました」と明かした。

 それはツーシームを磨いてきた弊害により体が開き、ストレートを投げた方がいいなという考えになったのだろうかーー。

 「そうですね。それもありますし、弊害というか、副作用とかあるんやなと自分でも思いました。真っ直ぐを強くしていけば、ツーシームも投げられる。練習ではストレートを多めに投げたり、工夫したりしていかないといけないなと思います」。

 4月11日の西武二軍戦以降、4試合・7イニングを投げ無失点、防御率0.00で4月30日に一軍昇格を果たした。同日のオリックス戦で今季初登板を果たすと、1回・12球を投げ、1被安打、2奪三振、無失点というピッチングだった。

 初登板から4試合連続無失点に抑え、「両方(ストレート・ツーシーム)ともすごくいい感じで、(体が)開かないのでどっちもいい感じに威力があって、真っ直ぐもいい感じです。今はバッターに入っていける感じがしますね」と手応えを掴み、武器にしているフォークも「ちょっと潰している時も多々あるんですけど、まだ決め切れていない球もありますし、良い時はいいのですが、完成度としてはまあまあという感じ。もっとあげて良くして行きたいですね」とさらに精度を上げていく考えを示した。

 初失点した5月18日の楽天戦は4-0の6回二死二塁で先発サモンズの後を受けて登板し、小森を遊ゴロに打ち取り、ピンチを脱したが、イニング跨ぎとなった2イニング目に2失点。

 ピンチを抑えた後の、イニング跨ぎは難しさはあったのではないだろうかーー。

 「いつもロングで2イニングやっていましたし、しんどさというよりは2アウトまでとって、浅村選手にフォークが甘いところに打たれてからだったので、追い込むまでは良いボールがいっているので、追い込んでからもっと精度を高めないといけないなと思いました」。

 5月21日のオリックス戦は先発・西野勇士の後を受けて、1-3の6回二死二塁の場面で登板し、若月健矢を右飛に仕留めた。6月11日の広島戦は先発・西野の後を受け、1-1の6回二死満塁で登板し、菊池涼介を捕邪飛に打ち取った。この時期、イニング途中での登板が増えていたが、「引かないように、向かっていくだけなので、そういう気持ちで投げています」と、相手打者に向かっていくことを考えマウンドに上がった。

 6月13日のヤクルト戦、6月20日のDeNA戦、6月28日のソフトバンク戦のように1イニングをピシャッと抑える登板もあれば、6月22日のDeNA戦のように3失点してしまう登板があるなど、極端な投球が目立ったのも事実。

 「22日のDeNA戦は、打ち合いの試合で絶対に先頭バッターを出してはいけないところで、しっかり打たれてしまった。先頭打者が大切。打たれた試合は先頭バッターが出ているなという感じなので、あとは甘いところに相手の長打が出ないところに投げているので、そういうところを頭に入れて投げないといけないなと思いました」と反省した。

 八木は7月2日に一軍登録を抹消されると、8月20日に再昇格。8月21日の楽天戦、8月26日のオリックス戦で連続失点したが、8月29日のソフトバンク戦から2試合連続で無失点に抑える。9月3日に一軍登録抹消。9月16日に3度目の昇格を果たすと、登板した5試合無失点に抑えシーズンを終えた。

 抑えている登板が多いだけに、来季は大量失点する試合を減らしていきたいところだ。

取材・文=岩下雄太

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