ロッテ・松川虎生は“危機感”、“覚悟”を持ってプロ4年目のシーズンに挑んだが、今季も一軍出場試合数は6試合にとどまった。
プロ1年目の22年は開幕スタメンマスクを被るなど、1度もファームに落ちることなく76試合に出場したが、2年目以降は9試合、2試合と出場機会を減らしていた。
今季に向けて「もう4年目なので、結果を出さないと一軍にいられない。とにかく自分がやるべきことをしっかりやって、勝つためにということを考えながらやっていければと思います」と強い覚悟を持って挑み、自主トレでは「全体(のレベルアップ)はもちろんですけど、バッティングの部分ではものすごく大事になってくると思う」と、「右膝が前に出て、遠回りしてしまうので、意識しながら」とバットを振った。石垣島春季キャンプでは、愛斗と共に全体練習後、ほぼ毎日バットを振り、球場を後にするのはいつもチームで最後だった。
全体練習後にバットを振っている時間について松川は「形もそうですけど、とにかく振り込んで、自分の形に持っていけるようにと思ってというところでやっています」と、自分の形を作るため、一心不乱にバットを振った。
2月16日から始まった対外試合では、20日のDeNAとの練習試合、24日の巨人とのオープン戦、28日の韓国ロッテ戦で安打を放ち、オープン戦も9試合に出場したが開幕を一軍で迎えることはできなかった。
開幕してからはバッティングでは5月4日のヤクルト二軍戦、10-3の9回一死一塁の打席、星知弥に対し2球で追い込まれるも、ボールを見極め3ボール2ストライクからの6球目の143キロフォークを見送り四球を選んだり、7月8日の日本ハム二軍戦では0-3の2回二死一、三塁の第1打席、孫易磊が投じた初球のストレートを打った瞬間にそれとわかる、レフトへの第1号3ラン。
7月は月間打率.333(27打数9安打)、1本塁打、4打点と課題のバッティング面で結果を残した。
8月に入ってからも、5日の日本ハム二軍戦では、1-1の10回一死満塁の第2打席、杉浦稔大が1ボール2ストライクから投じた4球目の136キロカットボールをライト前にサヨナラ打。8月22日のDeNA二軍戦は、第1打席が投犠打、第2打席が死球、第3打席が投犠打、第4打席が四球と、0打数0安打1四死球2犠打。8月24日のDeNA二軍戦は途中出場し、2安打したがいずれもレフト方向への安打だった。
7月以降は引っ張った安打が増えたが、その要因について「まっすぐをしっかり弾き返すことは自分の課題だと思っているので、そこは差し込まれないように。まっすぐをいつでも自分のポイントで打てるようなことはしてきました」と明かした。
「残り少ない試合ですけども、自分のやるべきことを全力でやって、しっかりチームに貢献できるようにしたい。勝つことがすごく大事だと思うので、まずは目の前の試合をしっかり、自分が出た時には自分のパフォーマンスを最大限に出せる準備をしてやっていければなと思います」。9月4日に今季初昇格を果たした。
松川がファームでプレーしている間に、2学年下の寺地隆成が“打てる捕手”として台頭。「僕自身もライバルなので、あんまり気にせず、自分のやるべきことを全力でやるというところは、意識してやっています。チームにとっても大きなところだと思いますし、1つしかないポジション、残り少ない試合ですけど、しっかり結果を残せればなと思います」。
一軍では6試合に出場したが、2試合にスタメン出場するもチームを勝利に導くことができず。打っても8打数0安打だった。来季はプロ5年目を迎え、大卒の同学年の選手がプロ入りしてくる。サブロー監督に変わる来季、チャンスをモノにし、捕手としての存在感を高める1年にしたい。
取材・文=岩下雄太