盗塁のスペシャリストとして活躍したテレンス・ゴア氏(写真=Getty Images)

 現地時間6日、かつてドジャースなどでプレーしたテレンス・ゴアが34歳の若さで死去した。現地報道によると、妻のブリトニーさんが「簡単に終わるはずだった手術の間に亡くなった」とSNSで明らかにしたという。

 ジョージア州出身のゴアは2011年のドラフト20巡目でロイヤルズに指名され、14年にメジャー昇格。俊足を武器に代走のスペシャリストとして名を挙げた。しかし、2019年の37試合が最多出場だったようにレギュラーに定着することはなかった。

 ゴアはメジャー8シーズンで通算112試合に出場し、43盗塁を記録したが、打席数はわずか「85」。この数字がゴアの選手像を物語っているといえるだろう。通算成績は打率.216、0本塁打、1打点で、半分以上の67試合が代走での出場だった。

 試合数ではなく、敢えて1打席当たりの盗塁数を見ると、ゴアのそれは「0.51」。これは通算40盗塁以上をマークした全2099選手の中で第3位である。

■1打席当たりの盗塁数(通算40盗塁以上の2099選手が対象)

1位 1.42 アラン・ルイス(44盗塁/31打席)

2位 0.53 マット・アレキサンダー(103盗塁/195打席)

3位 0.51 テレンス・ゴア(43盗塁/85打席)

4位 0.21 ダイロン・ブランコ(59盗塁/285打席)

5位 0.17 ラリー・リンツ(128盗塁/756打席)

 ゴアを含めていずれも代走スペシャリストと呼ばれたであろう面々だが、飛び抜けた数字を残しているのが、1位のアラン・ルイスだ。

 ルイスは1960年代から70年代にかけてアスレチックスでプレーしたスイッチヒッターで、出場した156試合のうち実に139試合が代走でのものだった。

 ルイスの脚力に目をつけたのは当時のオーナーで、前年にシングルAで116盗塁をマークしたスピードスターをメジャーに招集。ルーキーイヤーの1967年は34試合の出場し、わずか6打席にもかかわらず14盗塁を記録した。

 2位のマット・アレキサンダーは1970年代にカブス、アスレチックス、パイレーツでプレーしたこちらもスイッチヒッター。ルイスを大きく上回るメジャー通算374試合に出場しているが、そのうち271試合が代走起用だった。

 こちらも打つ方はさっぱりだったが、走塁以外に守備でも重宝された。実際に、投手、捕手、一塁手を除くすべてのポジションを守った経験がある。

 ルイスとアレキサンダーには他にも共通点が。前者は72年と73年にワールドシリーズを制覇。アレキサンダーもパイレーツ時代の79年に世界一に輝いている。

 一方のゴアはデビューした2014年にワールドシリーズ進出を果たしたが敗退。ジャイアンツと争った同シリーズで盗塁こそなかった1得点を挙げている。ロイヤルズは翌年に世界一の美酒を味わったが、ゴアは直前にロースターを外されていた。

 わずか85打席ながら、記録にも記憶にも残る爪痕を残したゴア。スピードスターの早すぎる死を悼む声が日米で上がっている。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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