沖縄キャンプを終え、再び戦いの舞台は横浜スタジアムに戻ってきた。
そんな中、新外国人クーパー・ヒュンメルが4番としての挨拶代わりと言わんばかりの快音を響かせた。初回のチャンスで振り抜いた一打は、本拠地のファンに贈る待望の先制タイムリーとなった。
◆ 「代官山育ち」の親日家が抱く、本拠地への想い
幼少期を東京・代官山で過ごした経験を持つヒュンメルにとって、日本でのプレーは長年の願いだった。「本当に素晴らしい雰囲気の中で野球ができた。これからシーズンが始まるにつれてファンの皆様の声援が大きくなるのを楽しみにしていますし、そういった舞台でプレーできることも楽しみです」。口をつくセリフには日本への深い愛着が滲む。
初実戦での結果も「得点するということはチームにそれだけ貢献できるということだと思うので、今日はその点がすごく良かったと思います。これからもこの形を続けていけたらと思っています」と冷静さの中に喜びを滲ませた。
◆ 近年レアなスイッチヒッター
この日放った一打は、右打席から生まれたものだった。近年では珍しいスイッチヒッター。その希少性も彼の武器のひとつとなる。
「沖縄にいる間は左ピッチャーとの対戦の機会は限られていたので、そういった意味でも今日は左ピッチャー相手に2打席立つことができたのは大きかったです。スイッチヒッターの特権として、違ったアプローチを見出だせる所は自分の大きな強み。これからも左右打席ともに上手く調整していきたいです」
日米の野球の違いについても、彼は極めて冷静に分析している。
「打席の中でタイミングを合わせることは、日本だろうがアメリカだろうがメキシコだろうが変わらない部分です。アジャストしなければいけない部分は今後出てくると思うのですが、そこは調整して開幕を迎えたい」
◆ 徹頭徹尾、チームのために
相川監督は「まだ正直そんなに見ているわけではない」と冷静な評価を崩さないが、「期待はしています。打撃練習見ているとすごくいい打球を飛ばしていますし、あとはそれがゲームでいい内容となってくれれば」と、その潜在能力には熱い視線を送る。
激戦の外野陣において、ヒュンメルが最も大切にしているのは「個」の数字ではない。
「いちばん大事なことはチームプレーヤーであることです。ベイスターズの一員としてここにいるので、チームにいかに溶け込むか、チームのためになれるか。チーム全体で戦う姿勢を取れるのかということを意識しています」
フォア・ザ・チームを地で行く青い目のスイッチヒッター。その献身的な姿勢と確かな技術が噛み合ったとき、横浜の攻撃力はさらに厚みを増す。
取材・文=萩原孝弘