プエルトリコ代表(写真=Getty Images)

 連日熱戦が続く第6回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。プールAは、プエルトリコがキューバとの無敗対決を制して、3連勝を決めた。日本時間11日に行われるカナダ戦に勝てば、文句なしの1位通過が決まる。

 プエルトリコといえば、ドミニカ共和国やキューバと並ぶ“カリブの野球強豪国”の一つ。強打のイメージが強いライバル国に比べると、「緻密さ」と「高い野球IQ」を前面に押し出したプレースタイルは異質といえるだろう。

 WBCの過去5大会はすべて1次ラウンドを突破し、第3回と第4回大会は決勝にも進出。2大会連続で準優勝と結果を残している。準決勝で侍ジャパンを破った2013年大会の激闘を記憶している日本のファンも多いだろう。

 初の頂点を狙うプエルトリコは今大会もここまで3試合で4失点。堅いディフェンスを誇るが、決してメジャーリーグで先発ローテーションを担うような投手がゴロゴロいるわけではない。

 言ってみれば“二流”の投手陣にもかかわらず、プエルトリコが強豪国の一つに数えられるのは、“扇の要”が優れているからだ。

 古くは1980年代から2000年代にかけて、パドレスなどで大活躍したベニト・サンティアゴ。その後もサンディ・アロマーJr.やイバン・ロドリゲス、ハビー・ロペス、ホルヘ・ポサダなど打って守れる捕手が続々と誕生。それ以降も、ヤディエルを筆頭としたモリーナ3兄弟がメジャーで息の長い活躍を見せた。

 2006年の第1回WBCには、オールスター級の捕手が4人(Y.モリーナ、イバン・ロドリゲス、ハビー・ロペス、ハビアー・バレンティン)もそろい、首脳陣が使いどころに苦労したのはいうまでもないだろう。その中でも常にプエルトリコ代表を引っ張ってきたのが、Y.モリーナだった。

 そのY.モリーナは2022年に現役を引退すると、それと同時に代表監督に就任。前回大会から指揮を執り、自身6度目のWBCを迎えている。

 Y.モリーナが初采配を振るった3年前のWBCはマーティン・マルドナード、クリスチャン・バスケス、M.J.メレンデスの3人体制で臨んだが、ベスト8止まり。そして今大会はマルドナードとバスケスの2人体制で臨んでいるが、39歳のマルドナードは昨秋に現役を引退。35歳のバスケスにしても、つい先日にアストロズとマイナー契約を結んだばかりという身だ。“捕手王国”と呼ばれた面影はもはやない。

 マルドナードとバスケスはともに守備力に定評があるが、打力はメジャーでも打率2割に乗せるのがやっとという選手である。

 それでも3連勝を決めた10日のキューバ戦で、チームを勝利に導いたのは9番で先発したマルドナードだった。2回に値千金の先制3点二塁打を放つと、キューバ打線を無失点に抑える好リードで投手陣を引っ張った。

 マルドナードはもちろん、年齢的にバスケスもこれが最後のWBCになるだろう。プエルトリコにとって次代を担う捕手の育成は急務だ。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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