連日熱戦が続くワールド・ベースボール・クラシック(WBC)。“3強”のうち日本とドミニカ共和国は早々と1次ラウンド突破を決めたが、王者奪還を狙うアメリカは、日本時間11日のイタリア戦に敗れ、絶体絶命の状況に陥っている。
ブラジル、イギリス、メキシコを破り、1次ラウンドで1位通過を狙ったアメリカ。最後の対戦相手となったイタリアも2勝0敗と無敗を維持していたが、やはりアメリカの優位は動かないとみられた。
しかし、終わってみればイタリアが序盤から主導権を握り、6回表を終えた時点で8-0のワンサイド。終盤にアメリカが得点を重ね反撃に出たが、最後はイタリアが8-6で逃げ切った。
これでイタリアとメキシコの直接対決を残すのみとなったプールB。イタリアが勝てばアメリカとともに決勝ラウンド進出が決まるが、メキシコが勝った時は失点率で2チームの勝ち抜けが決まる。状況的には、見守ることしかできないアメリカが敗退の危機に直面している。
今大会のアメリカは投打に過去最高クラスのスター選手をそろえた。特に投手陣はポール・スキーンズとタリク・スクーバルという昨季のサイヤング賞投手2人が加わり、他国には脅威とみられたが、そのスクーバルは1試合限定でチームを離脱。左腕は批判の矢面に立たされた。
一方で、強打者がそろった打線もまさに重量級。主将を務めるアーロン・ジャッジを筆頭にオールスター級が勢ぞろいした。
もちろん打線の中心を担うのはジャッジだが、実績的には甲乙つけがたいブライス・ハーパーも加わっていた。そしてそのハーパーが大会前に違和感を抱かざるを得ないある言葉を発していた。
それが「Having Judge behind me is gonna be a lot of fun」というもの。和訳すると、「ジャッジが後ろ(の打順)にいるのはすごく楽しいだろうな」という意味。つまり、ハーパーは暗にジャッジの前の打順を打つことを示唆していた。
ただ、ハーパーは33歳という過渡期の年齢を迎え、成績も下降中。生きのいい若手もそろった今大会は本来なら5~6番が適任だったのではないか。
スーパースターの発言だけに監督も無下にできなかったか、実際ブラジルとの初戦には主砲の“希望通り”、2番ハーパー、3番ジャッジという打順で臨んだ。
ところが続くイギリス戦で3番ジャッジ、4番ハーパーに打順を変更。メキシコ戦は2番ハーパー、3番ジャッジに戻したが、ハーパーのスイングには切れがなかった。
そして打撃向上の兆しが見えないハーパーはイタリア戦でスタメン落ち。8回裏に、一発が出れば同点という好機に代打で起用されたが、あえなくレフトフライに打ち取られた。
結局、ハーパーは15打数3安打(打率.200)で、長打なし、1打点で4試合を終え、結果的にチームの足を引っ張る形に―――。打率.250ながら2本塁打5打点を記録したジャッジとは対照的だった。
もちろんハーパーが最初からもう少し下位を打っていれば結果が変わったかは分からない。ただ、チームが一丸になるという点においては、スーパースターをそろえるのが必ずしも最適解とはいえないのではないだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)