本塁打や大量得点を練習試合、オープン戦から見たいと思うロッテファンは多いだろうが、“1つ先、2つ先を狙った走塁”、“足を使った攻撃”といった攻撃の形が見えていて、今季の攻撃に期待が持てる。
ロッテが2年連続2位に入った時は、四球で出塁しバントや進塁打で走者を進め、1本の安打で得点、“1つ先を狙った走塁”で一、三塁、一塁から長駆ホームインといった相手の嫌がるような攻撃で得点を奪い、そのリードを投手陣が守り切るという形で勝利を積み重ねた。
対外試合では“1つ先の塁を狙う走塁”が光る。2月26日のチェコ代表との親善試合、10-4の5回一死一塁で池田来翔のセンター後方のフライアウトで一塁走者・櫻井ユウヤが二塁にタッチアップすれば、3月1日の韓国ロッテとの練習試合で山口航輝が、0-4の5回一死一塁で宮崎竜成の左中間へのセンターフライで一塁から二塁にタッチアップし、上田希由翔の本塁打で生還した。山口は「チームとしてやっているので、はい」と話しており、“1つ先の塁を狙う”意識がチーム全体で浸透していることがわかる。
3月8日の日本ハム戦では、2-4の5回無死一塁で寺地隆成のレフト後方のフライアウトで一塁走者の岡大海が二塁にタッチアップ。髙部のセンター前安打で3点目のホームを踏んだ。
一塁から二塁へのタッチアップの練習は、昨年10月にZOZOマリンスタジアムで行われた秋季練習から左中間フェンス付近のフライ、センターフェンス付近のフライ、センター右のフライ、ライトフェンス際のフライに対し、一塁走者が二塁へタッチアップする練習を何度も繰り返していた。
“相手の隙を見逃さない走塁”も良い。2月19日のDeNAとの練習試合では、3-2の5回無死一塁で井上広大が放ったレフトフェンス直撃のあたりで、中継に入ったショートがホームに送球したのを見て、打者走者・井上が三塁へ進塁。井上はソトの右犠飛で生還した。
2月26日のチェコ代表との親善試合でも、池田が3-1の2回二死満塁の第2打席、左のノヴァークが1ボール2ストライクから投じた3球目の136キロストレートをセンター前に弾き返すと、センターがホーム送球する間に打者走者の池田が二塁へ進塁。
2月28日の西武戦、0-0の初回無死一塁、松本が1ボール2ストライクから投じた5球目のフォークを捕手・柘植が弾く間にスタートを切っていた一塁走者・髙部が三塁へ進塁し、藤原のセンター前安打でホームイン。
髙部は今年1月の自主トレで「バントとかで一塁から一気に三塁に行ったりとか、相手の裏をかくプレーはサブローさんが求めているので、今年もサブローさんが思っている以上のことを僕らができるように。新庄さんもそういうことをいっぱいやりますけど、それ以上に僕らができたらなと思っています」と、バントではないが実際に相手のミスで一塁から一気に三塁に陥れている。
3月4日の楽天戦では、1-0の6回二死一塁、ソトの1ボール1ストライクからの3球目、外角のカットボールを捕手が弾いたのをみて、スピードを緩めることなく一塁走者の藤原恭大は、一気に三塁へ進塁。ソトの適時打で生還した。
3月11日のオリックス戦では、0-1の3回無死一塁で小川龍成が、山下舜平大が投じた初球のストレートをピッチャー前にセーフティバント。スタートを切っていた一塁走者・友杉篤輝はスピードを緩めることなく、一気に三塁を陥れる好走塁。藤原打席中に暴投で友杉はホームインした。
成功事例ばかり挙げたが、当然ミスも出ている。それでも、“相手の隙をついた走塁”、“1つ先を狙った走塁”の意識はチーム全体に浸透しつつあり、シーズンが始まってからも、2020年、2021年のような足を使った攻撃で得点しそうな雰囲気はある。
◆ ノーヒットでも得点
ノーヒットで得点できているのも、去年までとは違う。2月21日の楽天戦では、0-3の4回に先頭の井上が四球で出塁すると、続く岡大海の打席中にワイルドピッチで一塁走者・井上が二塁へ。無死二塁となり、岡の遊ゴロで井上が三塁に進むと、ポランコの二ゴロの間に三塁走者・井上が還り、ノーヒットで1点を奪った。
3月13日の西武戦でも、1-2の7回に先頭の髙部が四球、続く藤岡裕大の初球に髙部が二塁盗塁を決めると、藤岡が2球目にピッチャー前に送りバントを決め、佐藤都志也の一塁へのゴロの間に三塁走者・髙部がヘッドスライディングで生還。佐藤の打席結果は一野選となり、ノーヒットで得点した。
ノーヒットではないが、3月14日の西武戦、0-0の9回に先頭の西川史礁が四球で出塁すると、代走・和田康士朗が岡の初球に二塁盗塁成功。捕手の悪送球も重なり三塁へ。一死後、寺地が1ボールからの2球目にピッチャー前にスクイズし、三塁走者・和田がサヨナラのホームを踏んだ。
和田はここまで対外試合で3盗塁。昨年までは自分のタイミングで盗塁のスタートを切っていたが、都城春季キャンプ中に今季盗塁のサインが出たらどんどん走れる感じなのか訊くと、「ゴーが出たら、若いカウントで行けるようにやっていきたいと思います」と力強い言葉を残していた。
足を使い、進塁打、バントで走者を進め、1点をもぎ取る。2月の都城春季キャンプのライブBPでも、走者を置いた場面を想定しバントを試みたり、対外試合に向けてきっちりと準備を進めてきた。“投高打低”で1点が取りにくくなっている中で、好投手相手に1点を奪い、そのリードを守り切る試合が1試合でも増えていけば、上位争いができるのではないだろうか。
取材・文=岩下雄太