巨人・阿部監督 (C)Kyodo News

◆ 白球つれづれ2026・第12回

 プロ野球がいよいよ27日から開幕する。

 セ・リーグが巨人vs阪神なら、パ・リーグもソフトバンクと日本ハムが激突するなど注目カードが目白押しだ。

 各球団の仕上がり具合を占う一つの指標となるオープン戦の成績が出揃った。

 チーム別では、巨人が8年ぶりのトップ。日本ハムと同率の首位ではあるが10勝5敗1分けの数字は発展途上のチームにとって、励みとなる“春の王者”になったかも知れない。

 阿部慎之助監督にとって、試練の3年目となった。

 主砲の岡本和真選手がメジャーのブルージェイズ移籍。代わるチームのリーダー役を担うべき吉川尚輝選手も股関節の手術で開幕絶望。投手陣では昨年6勝を記録したフォスター・グリフィンらも退団し、坂本勇人、丸佳浩と言ったベテラン選手に衰えが目立つ。指揮官としても進退を賭けるシーズンがチーム再建の正念場となった。

 レギュラー当確者ゼロ。「誰にもチャンスはある」とスタートしたサバイバル・キャンプ。確かに新戦力として、外国人なら新四番候補のボビー・ダルベックや、投手陣では則本昂大、スペンサー・ハワードの楽天コンビが移籍して戦力層を厚くする。

 加えて首脳陣を小躍りさせているのがルーキーたちだ。

 ドラフト1位の竹丸和幸投手(鷺宮製作所)はオープン戦防御率0.75と抜群の安定感をり、球新人では1962年城之内邦雄以来62年ぶりの開幕投手に抜擢が決まった。さらにドラフト3位の山城京平投手(亜大)も22日に行われたファームリーグのDeNA戦で好投が認められて一軍入り。それどころか対阪神開幕3戦目の先発の可能性まで浮上している。

 野手に目を向けると2年目の浦田俊輔や育成出身の宇都宮葵星らの俊足選手が開幕一軍を勝ち取っている。今年は例年以上に機動力を駆使すると言う狙いが見て取れる。

 しかし、ここまでが好材料としたら、多くの不安材料にも目を向けなければならない。

 3月に入ると、まず岡本に代わる四番候補として期待を集めていたリチャード選手が右手指の骨折で戦列離脱。加えてもっとショックの大きなアクシデントが起こる。

 3月15日にエースの山崎伊織投手が右肩のコンディション不良で突如戦列を離れた。一度は開幕投手を託した山崎は昨年11勝4敗と唯一2ケタ勝利を挙げた大黒柱。そして山崎と並ぶエース復活を期待された戸郷翔征投手もキャンプ、オープン戦と球威が戻らず二軍での再調整が決まった。

 WBC関連組では大勢が完調ではなく、キューバ代表で出場したライデル・マルティネスも来日が遅れて、開幕戦の登板は危惧されている。クローザー二枚の動向も気がかりだ。

 新年早々、山口寿一オーナーはチームの若返りの必要性を訴え、中でも期待の星に石塚裕惺選手の名を挙げた。攻走守三拍子揃った19歳の大型内野手を育成教育するスケジュールを立てたが、現時点では覚醒とまではいかず、こちらもファーム落ちが決まった。

 これだけのマイナス要素がありながら、オープン戦首位は「不思議な進撃」と言っていいだろう。名将・野村克也氏の言葉を借りれば「勝ちに不思議な勝ちあり」である。

 ちなみに、オープン戦首位でスタートした2018年のシーズンは3位で終えている。昨年のオープン戦を見るとリーク優勝の阪神は10位。それほどオーブン戦の順位はあてにならない。

 外国人のトレイ・キャベッジとダルベックに一、四番を託し、ルーキーの竹丸と山城に開幕カードの先発を任せる阿部用兵は、ある意味止むに止まれぬ“ギャンブル策”かも知れない。だが、未知との戦いで思わぬ副産物をもたらす可能性だってある。

 昨年、ソフトバンクは故障者続出で最下位からのスタートを余儀なくされた。それでも小久保裕紀監督は辛抱強く戦力が整うのを待って、逆襲に転じて日本一の座をつかみ取った。

 嬉しい誤算も、深刻な誤算もある。そうした中で迎える開幕。阿部監督に求められるのは辛抱と臨機応変な戦い方。そして何よりチームを一つにまとめ上げる統率力だろう。今年こそは、まず阪神と互角の戦いを見せて欲しい。ファンの拙なる願いである。

文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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この記事を書いたのは

荒川和夫

1975年スポーツニッポン新聞社入社。野球担当として巨人、西武、ロッテ、横浜大洋(現DeNA)等を歴任。その後運動部長、編集局長、広告局長等を経て現在はスポーツライターとして活動中

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