第98回選抜高校野球大会(C)Kyodo News

 第98回選抜高等学校野球大会(以下、センバツ)は、31日の決勝戦を残すのみとなった。

 勝ち上がってきたのは、大阪桐蔭と智弁学園(奈良)の近畿の名門2校。大阪桐蔭は4年ぶり5度目、智弁学園は10年ぶり2度目となる“紫紺の優勝旗”をかけて激突する。

 両校の戦いぶりには共通点が多い。ともに初戦は4-0で先行逃げ切り勝ち。2回戦以降はそろって接戦が続いている。

 大阪桐蔭は2回戦以降の3試合中2試合を逆転で制し、智弁学園に至っては3試合すべてで逆転勝ちを収めている。特に準々決勝の花咲徳栄戦で、智弁学園は8点差をひっくり返すミラクルを演じた。

 実力、勢いともにまさにがっぷり四つといえるだろう。そこで、今大会のデータを交えながら、センバツ決勝戦のポイントを探った。

 まず投手力は層の厚さで大阪桐蔭に軍配を上げたい。智弁学園には今大会防御率0.26の杉本真滉という絶対的エースがいるが、準決勝まで35回(2失点、自責点1)を投げている。2番手以下の3人は合わせて2回しか投げておらず、8失点、自責点7と打ち込まれている。良くも悪くも杉本の出来が試合の行方を左右することになりそうだ。

 一方の大阪桐蔭も同じく4人がマウンドに上がっているが、投球回数が最も多い背番号10の左腕・川本晴大でも15回しか投げていない。準決勝は8回からマウンドに上がり、2回34球。智弁学園の杉本に比べれば、疲労もほぼない状態で決勝に臨むことができるだろう。

 背番号1の吉岡貫介は2回戦の三重戦こそ制球が定まらなかったが、準決勝の専大松戸戦で復調の兆しを見せた。どちらが先発するにしても、杉本頼みの智弁学園よりは大阪桐蔭が試合を優位に運べそうだ。

 続いて打力だが、4試合合計17得点の大阪桐蔭に対して、智弁学園は同20得点。得点力はほぼ互角といえそうだが、チーム打率は大阪桐蔭の.256に対して、智弁学園が.305。長打の数も大阪桐蔭の8本(二塁打6本、三塁打と本塁打が1本ずつ)に対して、智弁学園は13本(二塁打11本、三塁打2本)と、打線に当たりが出ているのは後者の方ではないだろうか。

 そして両チームには“主軸に左打者が多い”という共通点もある。両チームのレギュラー選手で、今大会打率3割以上の選手は合わせて8人いるが、そのうち実に7人が左打者。杉本と川本という剛腕サウスポー相手にどれだけ得点を奪えるかが大きなポイントとなる。

 準決勝も終盤までもつれる展開だった両校の選手たちは心身ともに疲労困憊であってもおかしくない。決勝戦は、「左対左」を制し、最後まで集中力を切らさずに戦い抜いた学校に軍配が上がるのではないか。

 4年ぶりの近畿勢対決を制するのは大阪桐蔭か、それとも智弁学園か。注目の決勝戦は31日12時半にプレーボールとなる。

文=八木遊(やぎ・ゆう)

この記事を書いたのは

八木遊

1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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