【Buffaloes Inside】
オリックスの4年目、杉澤龍外野手が“守護霊”に守られ、攻守の活躍でチームのピンチを救っている。
「今まで、結果を欲しがっていました。でも、1戦1戦じゃなく、1球1球が勝負なので、どれだけそこに向け集中して準備をしていくかだと思います」。杉澤が好調の秘密を静かに切り出した。
杉澤は秋田県出身。東北高(仙台市)、東北福祉大から2022年ドラフト4位でオリックスに入団。勝負強い打撃と、俊足を生かした積極果敢な守備がセールスポイントの左打者。2軍では1年目にウエスタン・リーグで92試合に出場し、チームトップの38打点を記録するなど、3年間通算で2割6分近くの打率を残したが、1軍での出場は3年間で44試合(打率.128)にとどまった。
霊の存在を知ったのは、3年前だった。「霊が見えるという一般の方に会い、僕を見守っている霊が左後ろにいることを教えてもらいました。そして『君は、2026年に活躍するよ』と言われて。何を言ってるんだと思ったんですが、全然、結果が出なくて結構、不安になっていた時期で、その言葉で気持ち的に耐えられたということがありました」と振り返る。
もちろん、“守護霊”にすがったわけではなかった。志願して球団で初めて豪州、台湾のウインター・リーグに2年連続して参加。2年目のオフからはソフトバンク・栗原陵矢内野手、広島・坂倉将吾捕手の自主トレに志願して参加した。「午前にウエートトレーニング、午後から野球の練習をするんですが、僕は(きつくて)野球の練習にならないんです。そんななかでもお二人はバンバンとバットを振っていて。だからあれだけプロの世界で活躍できるんだなと知りました。自分に甘えていたら結果もついてこないし、成長にもつながらないと」。3年続けて自分を追い込んだことで「自分を信じられるようになった」という。
ケガをしない体作りにも取り組んだ。腰痛に苦しんできたが、今年1月から本格的にピラティスを始めた。「自分の中で腰が一番、不安だったのですが、本当に痛みが消え、腹圧が使えるようになったことで動きの幅も広がりました」と明かす。
開幕1軍をつかんだが、層の厚い外野では出番は少ない。それでも、静かにチャンスを待った。初スタメンとなった4月5日の日本ハム戦(エスコンフィールド)では3打数2安打。守っては右前に落ちそうな打球をダイビングキャッチする超美技でチームを鼓舞した。次戦での出場はなかったが、ホームに戻ったロッテ戦で2試合連続して先発出場し、6打数3安打1打点で、チームの3連勝に貢献した。
「試合に出る、出ないは、自分が決めることじゃない。そこに感情を揺さぶられたら、運にも見放されます。とにかく毎日、自分ができることをしっかりと準備をするだけ。(試合に)出る、出ないは気にしていません」。毎夜、翌日の相手先発投手の映像やデータをタブレットで目と頭に焼き付ける。「(“守護霊”の存在が)本当かどうかはわかりません。感じたこともありません。でもその言葉を信じてやってきてよかったと思います。心強く、よい材料は信じていきたいと思います」。努力を怠らず、運も味方にしてみせる。
取材・文=北野正樹