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元プロ選手が学生野球の指導を行うために必要なこと ~前編~

無断転載禁止
野球教室で野球少年を指導する増渕竜義氏

「学生野球資格」回復のための研修会


 皆さんは日本野球機構がセカンドキャリア支援の一環として行っている「学生野球資格回復制度 研修会」をご存知だろうか――。

 独立リーグを含むプロ野球関係者が学生野球を指導する際に必要となるのが「学生野球資格」。これがなければ、現役選手はもちろん引退したOB選手も学生選手と接触することができないのだ。

 かつてはアマへの指導そのものが全面的に禁じられていたが、50年以上の年月をかけて両者が和解。2013年からは「NPBプロ研修会」と「学生野球研修会」の2つの研修会を受け、日本学生野球協会からの承認を得ることができれば、学生野球の指導者となれることになった。


 野球に詳しい方であればこういった取り組みが行われていることを知っている方も多いかと思うが、実際にどのようなことが行われているのかまで知っているという方はなかなかいないのではないだろうか…。

 というわけで今回は、なかなか表に出ない「学生野球資格」の回復を目指すための道のりを明らかにすべく、昨年12月に行われた「NPBプロ研修会」に参加したプロ野球OBの増渕竜義氏にその詳細を語ってもらった。


「異様な空間」


 プロ野球を引退してから、「指導者として少年たちの夢をかなえたい」という思いが強かった私は、12月9日に筑波大学東京キャンパスで行われた「学生野球資格」を取得するための研修を受けに行きました。

 この研修会というのは3日間連続で行われます。ちなみに「有料」です。初日が日本プロ野球機構による「NPB研修会」で、2日目・3日目がアマ主導による「学生研修会」。このプロ・アマ2つの研修会を修了し、公益財団法人日本学生協会の審査を経ると、晴れて学生を指導することが可能になるのです。


【初日】

 どんなことを教わるのだろうとか、またテストもあると聞いていたので、少し緊張した感じで会場に入りました。

 まず驚いたのは受講者の数。120人ほどいたでしょうか。「えー、こんなにいるの」と正直思いましたね。

 周りを見渡してみると、面識のある方も結構いらっしゃってました。さらに驚いたのは、現役時代に本当にお世話になった宮本慎也さんもその中にいらっしゃったのです。

 慌ててあいさつに行くと、「何してんの?野球教えるのか?」などと声をかけてくださいました。久々に会えたことも、あり嬉しかったですね。宮本さん以外にも、元ソフトバンクの斉藤和巳さんや、元中日の小田幸平さんも受講されていました。

 そうこうしているうちに、早速研修が始まります。学校の教室に大の大人が100人超。すでに異様な雰囲気でしたが、響き渡る講師の方の声に、必死にメモを取る受講者...。息が詰まるほどに静まり返った空間でした。久々に学校の授業を受けたような感じで、あまり勉強が得意でなかった私にとっては少し「つらい」空間でした。


「発見の多い有意義な時間」


 初日はプロ研修。大きく分けて3つのことを重点的に教わりました。

 ひとつ目は「体罰」に関してのこと。私の高校時代にも体罰は無かったのですが、ひと昔前であれば頭をゴツンなんてことはよくあったと思います。しかし、現代ではそれもNG。指導をするうえで、軽く体を叩くだけでも問題になることがあるそうです。絶対にあってはならないことであると再確認しました。

 ふたつ目は「ケガ」です。練習時における準備やウォーミングアップ、選手たちの健康管理のことなどを、すごく細かなことまで教わりました。

 危険防止のために練習用ネットを準備しても、そのネットのフレームにボールが当たり、その跳ね返ったボールでケガをしてしまうということもあるそうです。そういった見落としがちなポイントまで、しっかり目を配らせる必要があるとのことでした。

 最後は、プロ野球界とアマ野球界のこれまでの歴史についてです。ひと昔前までプロとアマが関われなかった理由、問題点やその経緯などを教わりました。


 初日の研修ではこの3つのポイントについて徹底的に教わり、気が付けば私のノートは書ききれないほどになっていました。

 ずっと緊張感がある研修会だったので、終わりの頃にはどっと疲れがきました。他の受講者の方もも動揺で、あの宮本さんも疲労困ぱいしているように見えました。

 しかし、やはり選手側とは違う視点で、現役時代には知らなかったことをたくさん知ることが出来ましたし、受けてよかったと思える有意義な時間でした。

 この後は2日つづけての「アマ研修」。その模様は後編にてレポートします。

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