コラム

侍ジャパン06年組たったひとりの生き残り、35歳青木宣親に求められるもの

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 平均年齢26.6歳。

 第4回WBCに臨む27名の侍ジャパンが発表された(残り1枠は決定次第発表)。なんと27名中10名は90年代生まれの選手だ。前回大会(2013年)の90年代生まれは今村猛(広島)1人のみだっただけに、この4年間で日本球界が一気に世代交代したことがよく分かる。

 ちなみに日本代表が初優勝を飾った2006年大会は途中離脱した2名も含め32名中22名が70年代生まれの選手である。里崎智也、谷繁元信、岩村明憲、小笠原道大、松中信彦、宮本慎也、和田一浩、多村仁、金城龍彦・・・多くの選手がすでに第一線を退いた。こうして第1回大会のメンバーの名前を見ると、あらためてスポーツ界の「11年」という時の重さを実感する。


11年という歳月


 ちなみに06年の相撲界は白鵬がまだ大関で、ハタチの稀勢の里も小結、あの朝青龍が大横綱として君臨する日々。そしてトリノ冬季五輪フィギュアスケートでは荒川静香がイナバウアーで金メダル獲得。同年6月に開催されたサッカードイツW杯のジーコジャパンは黄金世代と呼ばれた79年組と、この大会限りで引退する中田英寿が中心だった。早実の斎藤佑樹がハンカチ王子として甲子園を沸かしたのもこの年だ。

 あの頃、手の中に握りしめていたガラケーはスマホに代わり、我々も11歳分、年を取った。学生だった人は社会人になっただろうし、独身だった人も結婚して子どもが生まれているかもしれない。任天堂からWiiが発売され、グラビアアイドル界でほしのあきと小倉優子がしのぎを削り、絶頂期のSMAPが『Dear WOMAN』を歌っていた近いようで遠い11年前の記憶。

 そんな11年前の06年WBC侍ジャパン、たったひとりの生き残りが青木宣親である。今回、09年第2回大会以来の日本代表メンバー選出。第1回大会では24歳だったヤクルトの若手選手が、35歳のメジャーリーガーとなり迎える自身3度目のWBCだ。

 青木はヤクルト時代のブロ2年目に202安打を放ち、8年間で計3度首位打者を獲得。ポスティングシステムを行使して12年からブルワーズでメジャーのキャリアをスタートさせると、いきなり150安打を放ち打率.288、30盗塁の活躍。翌13年には171安打を記録してみせた。その後は、ロイヤルズ、ジャイアンツ、マリナーズと渡り歩き、今季からは新天地のアストロズでメジャー6年目のシーズンを迎える。


大黒柱として


 09年の第2回大会ではイチローと並ぶチーム最多の12安打を放ち、打率.324で日本代表打線を牽引した男は、今大会日本代表唯一のメジャーリーガーにして、気が付けばチーム最年長選手だ。連覇していた頃の日本代表チームにはイチローという大黒柱が存在したし、前回大会でも40歳の稲葉篤紀、37歳の松井稼頭央や井端弘和という百戦錬磨のベテラン野手達がいた。ヤクルト時代には度々チームリーダーの宮本慎也から気の抜けたプレーを叱責されていた青木だが、時が流れ今度はその宮本のような役割を求められる立場になったわけだ。

 大谷翔平を筆頭に世代交代が進んだ今の侍ジャパンには爆発力も若さもある。足りないのは「経験」だけだ。山田哲人や筒香嘉智といった90年代生まれの若手、坂本勇人や中田翔といった88年・89年組の中堅、内川聖一や松田宣浩の30代プレーヤー。そして、彼らのまとめ役を託された最年長のベテランプレーヤー。

 侍ジャパン06年組たったひとりの生き残り。青木宣親、35歳。若き日本代表のチームの命運は、この男が握っていると言っても過言ではないだろう。


文=中溝康隆(なかみぞ・やすたか)
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