出身別で多いのは神奈川県
強化試合の低調なパフォーマンスから不安視されていた野球日本代表(侍ジャパン)だったが、ふたを開けてみると、ここまで2連勝。早くも1次ラウンド突破を決め、国内では徐々に盛り上がりを見せている。
大会前に大谷翔平と嶋基宏の辞退はあったものの、現在のメンバー28人の結束力は高まりつつあるように見受けられる。特に豪州戦で岡田俊哉がピンチを凌いだ場面では、選手たちの表情からそれがうかがうことができた。普段は敵と味方に分かれて戦う28人の心が一つにまとまらずして勝ち進むことはあり得ない。
そんな侍ジャパンメンバーのプロフィールを改めて見ていて気付いたことがある。出身地別にメンバーを見ると、最も多いのが神奈川県出身で4人。次いで東京都、大阪府、兵庫県が3人ずつ。そして静岡県、滋賀県、京都府、和歌山県、宮崎県が2人ずつ。それ以外の5県から1人ずつ選ばれている。
やはり人口に比例しているのか、都市圏出身の選手が多くを占める。東京都と神奈川県の2都県だけで7人。奈良県を除く近畿5府県からは12人。これら7都府県だけで28人中19人を占めている。
和歌山県出身の2人に注目
中でも注目したいのが、人口的には大阪府の9分の1にも満たない和歌山県だ。野手では侍ジャパン不動の4番に成長した筒香嘉智が、投手は前述したように豪州戦で流れを呼び込んだ左腕・岡田が和歌山県出身である。
筒香はここまで2本塁打を放ち、打点数も松田宣浩と並ぶチームトップ5打点と期待通りの活躍を見せている。岡田は初戦のキューバ戦でもピンチを切り抜ける快投を見せており、2次ラウンド以降でもブルペン陣の切り札として起用される場面が多くなりそうだ。
考えてみれば、小久保裕紀監督も2人と同じ和歌山県出身。大会前から、侍ジャパンが勝ち進むための最大のカギは“小久保監督の采配”ともいわれてきた。
筒香、岡田、そして小久保監督……。和歌山県出身の“3人”が2017年WBC侍ジャパンのキーマンとなるかもしれない。
【神奈川】
秋山翔吾、松井裕樹、田中広輔、菅野智之
【東京】
菊池涼介、鈴木誠也、秋吉亮
【兵庫】
宮西尚生、坂本勇人、山田哲人
【大阪】
小林誠司、藤浪晋太郎、平田良介
【宮崎】
武田翔太、青木宣親
【静岡】
牧田和久、増井浩俊
【和歌山】
筒香嘉智、岡田俊哉
【京都】
炭谷銀仁朗、平野佳寿
【滋賀】
松田宣浩、則本昂大
【岐阜】
大野翔太
【愛知】
千賀滉大
【広島】
中田翔
【大分】
内川聖一
【富山】
石川歩
文=八木遊(やぎ・ゆう)