光る『積極打法』
アストロズの青木宣親が絶好調だ。現地時間23日のレイズ戦に「8番・左翼」で出場すると、3打数2安打に1四球と4打席のうちに3度も出塁し。チームの勝利に貢献し、打率を.325まで引き上げた
チーム19試合のうち、ここまでスタメンに名を連ねたのは12試合。首脳陣の信頼を完全に掴んだとは言えないかもしれないが、日に日にその存在感は増している。
また、打順は昨季までの1番ではなく、下位(7~9番)での起用が続く。これまではリードオフマンとして“出塁=チャンスメーク”が求められてきたが、今年は下位の打順で伸び伸びと打席に立つことができている。
元来、積極的に打ちにいくタイプの打者ではあるが、今季はスイング率が昨季までの通算44.0%から50.6%まで上昇。自己最高が昨季の47.2%だったことを考えても、今季はこれまで以上に積極的に打ちにいっていることがお分かりいただけるだろう。
空振り率はこれまでで最も高い5.6%という数字を記録しており、バットが空を切る頻度が多いのも事実。それでも2ストライク時の打率は.389(18打数7安打)と高く、追い込まれたカウントではミートに徹することでしっかりと結果を残しているのだ。
磨きがかかった『流し打ち』
また、今まで以上に打ち気に早る傾向が出ている青木だが、無理やり右方向に引っ張っているわけではない。打球方向の割合とその方向に飛んだ時の打率を、昨季までのメジャー通算と今季で比較すると次のようになった。
【打球方向の割合とその打率】
▼ 2012~2016年
左:32.2%(.346)
中:35.5%(.295)
右:32.3%(.305)
▼ 2017年
左:42.1%(.375)
中:31.6%(.400)
右:26.3%(.300)
昨季までの打球方向の割合はというと、ほぼ3分の1ずつ均等に分かれていたが、打率でいうと左方向に“流し打ち”した場合の数字(.346)が突出していた。今季の打球方向の割合を見ると、青木にとってより“安打が出やすい”左方向への打球の割合が大きく増えていることがわかる。
「下位打線で伸び伸び積極的に打っていること」と「自身のヒットゾーンである左方向への打球が増えたこと」。この2つが今季の好調を支えている要因といえるだろう。
ただし、このままの調子が続けば、昨季までの指定席である「1番」に戻る可能性も出て来る。そうなった時にも変わらず、いかに今の“超積極打法”を貫けるかというところがポイントになりそうだ。
2012年のメジャー1年目から5年連続で打率2割8分台、出塁率3割5分前後をキープしてきた青木。計算できる打者としてメジャーでの評価も高いが、そろそろ突き抜けて欲しいというのもファンの本音だろう。
日米通算2000安打という偉業への挑戦が注目を集めているところでもあるが、その先にある自身初の打率3割というところも狙って欲しいところ。好調・青木のバットから目が離せない。
文=八木遊(やぎ・ゆう)