初の世界一へ...
ナショナルズは現地時間27日(日本時間28日)、敵地でロッキーズと対戦。7回表に一挙11得点を叩き出す猛攻を見せ、16-5で圧勝した。これで今季の成績は16勝6敗。勝率はメジャートップの.727を記録するなど、好スタートを切っている。
直近3試合では合計42得点を挙げるなど、とにかく打線が止まらない。今季の1試合平均得点は6.3という数字をマークしており、2位のダイヤモンドバックス(5.5)を引き離してメジャー断トツの成績を記録している。
次はメッツとの3連戦が組まれているが、ここを2勝1敗で乗り切ると、4月の成績は18勝7敗。貯金を11まで伸ばし、最初の月を終えることになる。
2013年以降、貯金10以上で4月を終えたチームは3チームあり、そのうちの2チーム(2013年・レッドソックスと2016年・カブス)はそのままワールドチャンピオンまで登りつめた。悲願の世界一を目指すナショナルズもこの流れに乗ることができるか。4月の締めくくり方にも注目が集まっている。
“天才”の復活
絶好調のチームを牽引しているのが、日本でもお馴染みのブライス・ハーパーである。
2015年には23歳という若さでナ・リーグMVPに輝いた“天才”であるが、昨季はまさかの大不振。打率.243、24本塁打、86打点と低迷した。
復活を期して臨んだ今季は、開幕から好調をキープ。ここまで打率.418、8本塁打、25打点を叩き出す活躍でまさにチームを引っ張っている。
さらにそのハーパーの脇を固める選手たちも軒並み好調。すぐ後の4番を打つことが多いライアン・ジマーマンが打率.387、8本塁打、21打点という成績で相手に脅威を与え、主に5番を務めるダニエル・マーフィーも打率.340、5本塁打、25打点の大暴れ。ハーパーと遜色ない働きを見せ、打線を支えている。
投手陣もジオ・ゴンザレス、マックス・シャーザー、そしてタナー・ロアークの3人がすでに3勝を記録。防御率もゴンザレスが1.62、シャーザーも1.95と安定した成績を残しており、先発陣も打線に負けじと好投を見せているのだ。
不安要素といえば...
そんな絶好調なチームにおいて、課題になっているのがリリーフ陣の薄さだ。
先発投手陣の力投が光るなか、救援投手陣の防御率はメジャーで下から2番目の6.18。開幕前から不安視する声も多かったが、想定を上回るほどの不安定さを露呈している。
ただし、今のところ不安という不安はこのくらい。逆に言えば、リリーフが整備されれば2位以下に大差をつけての独走優勝も現実味を帯びてくるということだ。
地区優勝が見え、さらにその先が見えてきた時...ナショナルズはどんな動きを見せるのか。大きな注目ポイントとなる。
1969年にモントリオール・エクスポズとして誕生し、2005年からワシントンに移転。今年で49年目を迎えているが、実は1度もワールドシリーズの舞台に立ったことがないのだ。
ちなみに、既存の30球団の中でワールドシリーズを1度も経験していない球団というのは、ナショナルズとマリナーズだけ。好スタートを切ったナショナルズは悲願のワールドシリーズ出場、そしてチャンピオンの夢を叶えることができるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)