コラム 2017.05.08. 18:45

恐るべし内川塾

無断転載禁止
右越えに逆転満塁本塁打を放つ上林=ヤフオクドーム

白球つれづれ2017 ~第10回・上林誠知~


 最大で9連休にも及んだ今年のゴールデンウィーク。スポーツ界でも数々の素晴らしいドラマが生まれた。

 対広島戦で0対9から奇跡の大逆転を果たした阪神は勢いそのままに首位奪取。アマ球界では怪物・清宮幸太郎(早実)が、この間に11戦8発の固め打ちで高校通算本塁打を92号と伸ばしている。ゴルフ界に目を転じれば韓国の美人プロ、キム・ハヌルが国内メジャーである「サロンパスカップ」を制し、史上8人目となるメジャー連覇の偉業を達成した。

 そんな中で圧巻の離れ業をやってのけたのがソフトバンクの上林誠知、プロ4年目の逸材が確実にスターの道を歩み始めた。


鷹のモンスター


 覚醒の始まりは5月2日の西武戦。このゲームで自身初の1試合2発を叩き込むと、翌日の同カードでは満塁アーチで逆転勝ちをチームにもたらす。この2試合だけで3発10打点。続くロッテ戦でも勢いは止まらない。敗色濃厚の9回、デスパイネの同点弾の直後に今度は決勝の右越えアーチ。それもロッテの守護神・益田が自信をもって投じた低めのシンカーを巧みなバットコントロールでスタンドまで運んだ。

 これにはメジャーから戻ってきたばかりの川崎宗則まで「ホークスはすごいモンスターを生み出しました」と大絶賛。日頃からオーバーアクションとユニークな語録でファンを楽しませてくれる川崎だが、これは本音だろう。

 仙台育英高時代から俊足好打の外野手として甲子園も沸かせた。高校1年の秋からレギュラーの座を射止め、練習時のフリー打撃では何と推定飛距離170メートルの“お化けアーチ”を放った伝説まである。2013年のドラフト4位で入団。将来性は高く評価されながらも伸び悩んでいた。


未完の大器から


 体力面のひ弱さに加え、ソフトバンクの巨大戦力の壁にもぶち当たった。そんな未完の大器がシーズンオフに門を叩いたのが「内川塾」。チームの大先輩である内川聖一の自主トレに参加することで新たな展望が開けた。

 内川と言えば右打者の国内最高打率(.378)を保持する安打製造機。独特のリストを利かせたバットコントロールは職人技だ。ボールの見極め方、バットの扱い。名人から時にはアドバイスを受け、食事の席でも貴重な体験談を聞けるのだからこれ以上の環境もない。

 加えて、この「内川塾」には広島の鈴木誠也も参加している。彼も二松学舎大付属高時代から甲子園出場こそ叶わなかったがスカウトの評判の高かった逸材だ。1学年上の鈴木が昨年は大ブレーク、「神ってる」働きでリーグ優勝の立役者ばかりかWBCの日本代表にまで駆け上がった。右と左の違いはあるが同世代の外野手で奇しくも背番号まで同じ51。ここにも最高の教材があった。


大化けの予感


 昨年の当コラムでヤクルト・杉村打撃コーチと山田哲人の二人三脚ぶりを取り上げた。その中で杉村のかつての教え子として紹介したのが現アストロズの青木宣親と内川聖一。(内川は横浜時代に同打撃コーチだった杉村の指導を受けている)したがって青木から内川、山田、鈴木に上林まで同門の線はつながっている。何とも華麗な系譜と言うべきか?

 オープン戦で結果を残し開幕一軍の座を射止めた上林だが、一時は調子を落としてスタメンから外れていた。首脳陣の間では、今年は半分程度の先発出場で経験を積ませて来年に本格化を、という声も聞かれた。だが「恐怖の八番」として大爆発を見せた今では、もう先発から外せない。打撃コーチの藤本博史は「今年はあいつが神懸るかもな」と大化けの予感を語る。

 8日現在、広島の四番に成長した鈴木が打率.310に5本塁打、22打点に対して規定打席不足ながら上林も打率.310で6本塁打19打点と負けていない。まもなく規定打席に到達したとき、数字はさらにはね上がっているか?こちらだって近い将来にクリーンアップを任されていてもおかしくない。

 チームも春先の不振を脱して首位を行く楽天の足元まで忍び寄ってきた。その浮上の曲線は上林の活躍と軌を一にしている。監督の工藤公康は新たな強力兵器を手に入れた。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

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