2年前のワールドチャンピオンが...
プロ野球は開幕から1カ月以上が経ち、各球団が30試合前後を消化した。
パ・リーグでは、楽天が20勝7敗と開幕ダッシュに成功。快進撃を続ける一方で、昨季リーグ3位のロッテが8勝21敗1分と苦しんでいる。
ロッテ低迷の大きな要因の一つが、貧打による得点力不足だ。ここまでの30試合で記録した総得点は「77」。1試合平均にすると僅かに「2.57」点である。チーム打率もいまだ1割台(.185)と、なかなか上昇の兆しは見えてこない。
海の向こう、メジャーリーグでも深刻な打撃不振に苦しんでいるチームがある。2年前にワールドチャンピオンに輝いたカンザスシティ・ロイヤルズだ。
ロッテと同じく30試合を終え、総得点はロッテを僅かに上回る「82」。チーム成績は10勝20敗で地区最下位に沈んでいる。
両チームの主な打撃成績を比較すると、次のようになる。
【打率】
ロッテ .185(12球団ワースト)
ロイヤルズ .208(メジャーワースト)
【本塁打】
ロッテ 11(12球団ワースト)
ロイヤルズ 27(メジャーワースト2位タイ)
【盗塁】
ロッテ 5(12球団ワースト)
ロイヤルズ 15(15位タイ)
【得点圏打率】
ロッテ .213(12球団ワースト)
ロイヤルズ .188(メジャーワースト)
両チームともに、得点が少ない理由がよくわかる数字が並んだ。
ロイヤルズは本塁打数や盗塁数だけを見ればもっと得点を挙げていてもおかしくないが、チャンスの場面でタイムリーが出ていないことがわかる。本塁打の内訳も27本中20本がソロで、残り7本が2ラン。走者を2人以上置いた場面での一発というのはまだ出ていないのだ。
暗黒時代に逆戻り...?
ロイヤルズといえば、2014年から2年連続でワールドシリーズに出場。2015年には30年ぶりの世界一にも輝いた。
2015年は打率メジャー3位、得点圏打率もメジャー2位の数字をマーク。派手な一発こそ少なかったが、機動力を駆使し、効果的な一打が多い“いやらしい”打線が特長だった。
その頃の主要メンバーだった野手は、ロレンゾ・ケーンやサルバドール・ペレス、エリック・ホスマー、アレックス・ゴードン、アルシデス・エスコバル、そしてマイク・ムスタカスなど、今もチームの中心を担う面々だ。
ケーンやムスタカス、ペレスあたりは今季も合格点の働きを見せているが、ゴードンとエスコバルはともに打率1割台と不調。また、FAで抜けたケンドリー・モラレス(昨季30本塁打、93打点)の穴を埋めるべく獲得したブランドン・モスが、ここまで打率.153、4本塁打、7打点と大きく期待を裏切っている。
2年前に世界一に輝いたあと、昨季は81勝81敗の5割でシーズンを終えたロイヤルズ。今季はV字回復を目指したが、開幕ダッシュに失敗。「10」に膨れ上がった借金を返すには、打線の奮起が必須だ。
ロイヤルズといえば1995年から2012年までの18年間で17度のシーズン負け越しを経験するなど、数年前までは低迷期のまっただ中にあった。栄光からわずか2年、チームは再び暗黒期に突入してしまうのだろうか…。それとも、2年前のV戦士たちがここから意地を見せてくれるのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)