守備だけでなく打撃、走塁でも貢献!
開幕から好調だった西武が苦しんでいる。4月23日の時点で貯金は5を数えたが、その後連勝は一度もなく、貯金は底をつき、現在は借金2という状況だ。この苦境にチームを救う選手は現れるだろうか。
期待したいのがルーキー遊撃手の源田壮亮の存在だ。ここまで全31試合に出場、打順は主に2番を任され、打率.280、11打点、盗塁はパ・リーグ最多の8個をマーク。さらに得点圏打率はリーグ5位の345という勝負強さを見せるなど、堂々の成績を残している。源田といえば、開幕からその堅い守備がクローズアップされがちだが、走塁面、そして打撃面でもチームに大きく貢献している。
リーグトップを走る盗塁数だが、4月末時点では23試合で5盗塁だったのが、5月に入って8試合で3盗塁とややペースアップ。もしルーキーイヤーに盗塁王に輝くようなことがあれば、2リーグ制になった1950年以降では元阪神の赤星憲広氏(2001年、39盗塁)以来2人目の快挙となる。
盗塁数増加の要因はいくつかあるが、出塁率の向上が大きい。源田の3~4月の出塁率は.306だったが、5月に入ってからは.361に急上昇。4月末まで2個だった四球数が5月は5個に急増。打席内で気持ちに余裕が出てきた証しだろう。
内野安打の多さも特徴
また内野安打の多さも特長の一つだ。今季放った35安打のうち内野安打は9本(パ・リーグ最多)を占める。相手の内野陣は、内野安打を警戒しやや前目に守る機会も増えていくだろう。そうなると、ヒットゾーンも広がり、打率のさらなる向上も期待できそうだ。
走攻守すべての面で新人離れしたプレーを見せる源田。現時点でパ・リーグ新人王の最有力の一人であることは誰もが認めるところだ。実は近年のパ・リーグ新人王は投手の独壇場となっている。最後に野手が新人王を獲得したのは1998年の小関竜也氏(西武)までさかのぼらないといけない。
そして、もう一つ源田に期待したい隠れた大記録がある。それは1年目での全試合フルイニング出場だ。ここまでチームの31試合すべてに先発し、全イニングに出場している。ルーキーイヤーにフルイニング出場を果たせば、1961年の徳武定祐氏(国鉄)以来の快挙となる。徳定氏以外にこの偉業を成し遂げた選手は、1956年の佐々木信也氏(高橋ユニオンズ)と1958年の長嶋茂雄氏(巨人)の2人しかいない。
即戦力ルーキーの名に恥じない活躍を見せる源田の今後のさらなる飛躍に期待がかかる。
文=八木遊(やぎ・ゆう)