阪神、広島、巨人が抱えるうれしい悩み
セ・リーグ上位球団がうれしい悩みを抱えている。出場選手登録が許される助っ人外国人は4人までという規定があるが、阪神、広島、巨人にはファームで好成績を残しながら、いわゆる“外国人枠”に阻まれている選手がいるのだ。下記は、彼らの二軍成績である(5月13日終了時点)。
【ファームで活躍中の助っ人】
クルーズ(巨人) 21試合 打率.321(53-17) 本塁打6 打点12
西で活躍中の助っ人
セ・リーグ首位の阪神ではマテオとドリスのドミニカンコンビが活躍を見せているが、実は今年の阪神投手陣は“ドミニカントリオ”でスタートしている。
未だ一軍登板がないメンデスは、二軍で18回と2/3を投げて防御率0.96という好成績。昇格の時を今か、今かと待ちわびている状態だ。
しかし、阪神における“枠”という壁は非常に高い。現在の一軍にはエースのメッセンジャーにマテオとドリス、そして野手のキャンベルという4名で枠がいっぱいに埋まっている。
そのなかで言うと、キャンベルと入れ替えればいいのではと思う方も多いかもしれないが、外国人枠の規定で『投手4:野手0』(もしくはその逆)という登録は禁じられており、メンデスが一軍に上がるためには好調な3人の助っ人投手の一角を崩さなければならないのだ。
また、ウエスタンで打ちに打ちまくっているのが広島のバティスタだ。打率.352、本塁打10、打点27はすべてリーグトップ。三冠を独占しているほか、塁打数72や長打率.695も断トツの成績となっている。
驚異的なスイングスピードを誇る打撃からヒットとホームランを量産している男だが、現在の一軍枠は本塁打ランキングトップのエルドレッドとペーニャの野手ふたりに、セットアッパーのジャクソンとブレイシアの投手ふたりで完売状態。
一見チャンスはありそうにも見えるが、エースのジョンソンや昨季活躍したヘーゲンズという実績ある投手たちが調整中であることを考えると、バティスタに残された時間は短い。
外国人獲得のうまさが順位に直結!?
最後にFA組で失敗した感の強い巨人であるが、新戦力という観点で見ればむしろハマっている。
4年ぶりに日本球界に復帰したマギーは開幕から5番を担い、チーム2位タイの6本塁打をマーク。投の新助っ人・カミネロも開幕から守護神として定着すると、ドリスに次ぐリーグ2位の10セーブを挙げている。
彼らに加え、すでにお馴染みとなっているマイコラス、マシソンという強力助っ人投手が一軍におり、これで4つの枠はいっぱい。だが、ファームにも奮闘を見せる助っ人はいる。加入2年目の内野手・クルーズである。
昨年から巨人でプレーする助っ人は、開幕前にWBCに出場したことなどもあり、二軍スタートが決定。その間に上述の4人がチームに欠かせない存在であることを証明したため、なかなか昇格のチャンスが巡ってこない状況となっている。
それでも、ファームでは打率.321と本塁打6と格の違いを見せつけており、この選手を持て余しているというのは巨大戦力の巨人ならではと言ったところだろう。
ただの偶然なのかもしれないが、ここで紹介した3人の助っ人が所属するチームは、いずれも上位につけている。
ウィークポイントをカバーする補強策も、チームの強化には欠かせない。上位球団は日本野球に適応できる優良外国人をしっかりと見抜き、獲得することができているとも言えそうだ。
長いシーズン、チームに何かあった時に満を持して上がってくるであろう彼らに注目しておきたい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)