コラム 2017.05.23. 11:30

菊池雄星、エースとして乗り越えるべき壁

無断転載禁止

白球つれづれ2017 ~第12回・菊池雄星~


 西武の菊池雄星が見違えるほどの快投を見せている。22日現在、防御率は1.24でリーグトップ。19日のソフトバンク戦では投手戦の末に1-2で惜敗したものの、先発した8試合すべてで先発投手の価値基準となるクオリティ・スタート(QS、6回を自責点3以内)をクリア。抜群の安定感でチームのAクラス進撃を支えている。


アメリカからの視線


 今春、米メディアが興味深い記事を伝えてきた。CBSスポーツのM・アサシア記者が「近い将来に大谷翔平以外でMLB球団の食指が動きそうな日本人選手」として5人の名前を挙げている。打者では山田哲人(ヤクルト)。投手は藤浪晋太郎(阪神)、則本昴大(楽天)、有原航平(日本ハム)、そして菊池雄星だ。

 「キャリアはアップダウンだがストレートに球威がある上、最近はカーブ、スライダー、チェンジアップを駆使して打者を打ち取る。空振りを奪える左腕はいつだって魅力的だ」とは同記者の菊池評だ。

WBC出場は叶わなかった菊池だが、最近のメジャー球団は駐日スカウトを配するチームも多く、見る目は確かだ。前述のソフトバンク戦にも日本ハムで活躍し、現カブスのF・セギノール国際スカウトが現れて熱視線を送っている。

大谷翔平とは花巻東の3年先輩。高校時代からメジャー志向を公言してきた男にとって後輩ばかりに注目が集まるのは面白いはずがない。

しかし、プロ入り以来、逸材、大器と騒がれながら規定投球回数をクリアして、初の2ケタ勝利(12勝)を上げたのも、やっと昨年のこと。ようやくエースの階段を駆け上り始めたのが現状だろう。


複雑なポスティング事情


 昨オフにはポスティング制度を使ってのメジャー移籍を球団に直訴している。しかし、球団側にはおいそれと認めるわけにはいかない事情もある。昨年限りで岸孝之が楽天にFA移籍、これ以上の人材流失は防ぎたいところ。加えて実績面でもまだ物足りない。

ある球団関係者は「今後、2年連続で15勝以上とか、チームを優勝に導くくらいの“置き土産”が必要」と注文を付ける。今季、来季と文句なしの成績を残して、18年オフにメジャー移籍が現実的な見方となる。

 西武では過去に松阪大輔(現ソフトバンク)がレッドソックスに移籍した際に約60億円の移籍金を手にしたことがある。しかし、今年になってMLBは日本野球機構に対してポスティング制度の見直しを要求。現行の最高2000万ドル(約22億3000万円)からの大幅減額を突き付けている。

 表向きは「日本と韓国の選手間に移籍金で大きな隔たりがあるから」とMLB側は説明するが、素直に受け取るむきは少ない。このままでは巨額の争奪戦が予想される大谷シフトという見方がもっぱら。

 すでに大谷のような25歳未満の外国人獲得には総契約金の上限を575万ドル(約6億4000万円)とすることが決定しているが、こうした緊縮策が日本球団のガードを固くする要因にもなりかねない。


乗り越えるべきもう1つの壁


 加えて、菊池が名実ともに大エースの評価を得るためにはもう一つ乗り越えるべき大きな壁がある。対ソフトバンク10連敗の屈辱だ。2011年の初対戦以来15度の登板で勝ち星もない。理由は単なる巡りあわせではないようだ。

 「投手も打者も一流が揃っているチームなので先に点を与えると苦しい」とは19日の敗戦後の談話だが、相手側はどう見ているのか? 西武、ロッテそして今季からソフトバンクの打撃コーチを務める立花義家の言葉が示唆に富んでいる。

「早い回から飛ばしてきたので終盤に球威が落ちてきたね。それにロッテなどには見下して投げていたのに、表情に余裕が感じられなかった」

 つまり、強敵を前に一つのミスも許されないと思うのは当然でも、その余裕のなさが投球にも表情にも出てしまっては自ら墓穴を掘っているということだ。特定の苦手チームを作っては15勝以上の大勝ちなど望めない。ましてやそれがソフトバンクとなれば優勝の確立も低くなる。エースのハードルとはかくも高い。


文=荒川和夫(あらかわ・かずお)

【PR】埼玉西武ライオンズを観戦するなら「DAZN Baseball」

就任2年目の松井稼頭央監督は髙橋光成、今井達也、平良海馬、隅田知一郎ら充実の投手陣と足を絡めた攻撃にさらに磨きをかけ5年ぶりのリーグ制覇を目指す!

「DAZN Baseball」とは、月額2,300円(税込)でDAZNのプロ野球コンテンツをすべて楽しめるプランです(月々払いの年間プランのみ)。

プロ野球だけを楽しみたい方は、月額4,200円(税込)のDAZN Standard​よりも1,900円お得に視聴できます。

POINT

ペナントシリーズ、交流戦、CSまで余さず堪能できる!

② オフシーズンもドキュメンタリーやバズリプレイなどコンテンツが充実!

毎月2,300円でライブ配信・見逃し配信・ハイライトまで視聴可能!

【PR】「DMM×DAZNホーダイ」でプロ野球を観よう!

「DMM×DAZNホーダイ」とは、DMMプレミアムとDAZN Standardをセットで利用できるプラン。

単体契約ならDMMプレミアム月額550円(税込)、DAZN Standard月額4,200円(税込)のところ、本プランなら月額3,480円(税込)だからとってもお得です。

POINT

① 「DMM×DAZNホーダイ」なら単体契約より月額1,270円(税込)も安い!

② DAZNだけの契約と比較しても月額720円(税込)お得に楽しめる!

③ 新規入会月から最大3カ月間、「DMMポイント」を550ポイント付与!

ポスト シェア 送る

もっと読む

  • ALL
  • De
  • 西