バットでも貢献する“守備の人”
西武の新星・源田壮亮が文字通り躍動している。
6月3日のヤクルト戦では、初回に四球を選ぶと、すかさず二盗を成功させチャンスを拡大。2点リードで迎えた4回二死二・三塁の場面では、ギルメットの真ん中高めに抜けたフォークをとらえ、一・二塁間を鮮やかに抜く2点適時打をマーク。さらに先頭で迎えた8回にはセンターへの二塁打で出塁し、外崎修汰のダメ押しタイムリーを呼び込むなど、チームの大勝に打って走って貢献した。
プロ入り前の源田といえば、高い守備力と50メートル5.8秒の俊足が注目されていた選手。ところが、ふたを開けてみればここまで打率.291とバットでも大健闘を見せている。オープン戦の11試合で打率.300の好成績を残していたとはいえ、シーズンは別物。首脳陣にとってはうれしい誤算だろう。
もちろん、「社会人ナンバーワン」と評された守備はさすがのもの。守備範囲の広さ、一歩目、捕球から送球までのスピード、強肩など、あらゆる面が高く評価されている。
全試合スタメン出場を継続中
西武には2012年の中島宏之(現オリックス/当時の登録名は裕之)以来、不動のレギュラーと呼べる遊撃手は現れていない。
昨季の遊撃スタメンは、45試合の鬼崎裕司がトップ。次いで40試合の呉念庭、23試合の永江恭平、21試合の金子侑司、9試合の外崎修汰など....計7人がスタメン起用された。
ところが、源田は1981年の石毛宏典以来チーム36年ぶりとなる新人遊撃手としての開幕スタメンを勝ち取ると、ここまで全51試合でスタメン・フルイニング出場を続けている。
チームが待ち望んでいた正遊撃手の出現。守備負担が大きなポジションにもかかわらず、社会人出身とはいえ1年目から期待以上の打撃成績も残しているからこその起用だろう。
ただ、やはり怖いのはその“1年目”というところ。ペナントレースに出場し続けることの疲労は想像をはるかに超えるもののはず。シーズンはまだ約3分の1がすぎたところだ。これから本格的な夏を迎えれば、疲労はさらに増し、蓄積されていく。源田の本当の力が試されるのはこれからだろう。
遊撃手は野球の花形ポジションのひとつ。西武の遊撃手といえば、石毛をはじめ、松井稼頭央(現楽天)や中島など、それこそ球界を代表するスターを輩出してきた。
躍動する背番号「6」には、将来その仲間入りを果たすだけの可能性が十分にある。いつの日かチームを、そして球界を代表する名遊撃手へ…。これからの活躍に期待が高まる。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)