コラム

交流戦打率.375!オリックス“希望の星”武田健吾

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お立ち台でポーズをとるオリックス・武田(左)と宮崎=京セラドーム

どら増田のオリ熱魂!〜第6回〜


 5月28日のロッテ戦からの7連勝もあって、5月の大失速により最大9まで膨れ上がった借金を「1」まで減らしたオリックス。しかし、6月11日の中日戦からの4連敗で借金は再び「5」に。

 交流戦期間中の借金完済は叶わぬまま公式戦に戻ることになるが、今年の交流戦で存在感を示し、今後の活躍を期待させる男がいる。高卒5年目の外野手、武田健吾だ。武田は15日現在、交流戦15試合中12試合にスタメン出場し、打率.375という数字で交流戦打率ランキングの5位につけている。

「ファーストストライクを大事にしてます。振れるボールを思いっきり振っていこうと」

 好調な理由を春先に聞いたときは「たまたまですよ」と話していた武田だが、最近は明確な答えが返ってくる。


積み重なっていく自信


 2012年のドラフト4位で自由ヶ丘高校から入団した武田に当時マスコミがつけたキャッチコピーは“新庄2世”。同じ福岡出身の右投げ右打ちの外野手、新庄剛志氏にあやかってのもの。183cmと恵まれた体格に加えて、足も早く肩も強い。武田の身体能力が開花する日を待ちわびたファンは多かったに違いない。

 武田を入団時から近くで見てきた下山真二打撃コーチも、「たぶん僕がいちばん長く見ている選手。(今年の活躍について)すごく嬉しいですよ」と、その成長ぶりに目を細める。そして、結果を残している要因について次のように語ってくれた。

「上(一軍)に呼ばれるには左ピッチャーを打てるようになることだっていう話をして、上に呼ばれるようになったんですけど、やはり上に行ったら右ピッチャーにも通用しなきゃ使ってもらえない。そういう部分で悩んでいたところがあったと思います。そこで、バットを短く持ってみたら?ってアドバイスしたんですよ。そこからファームでも結果が出始めて、オフにメキシコ(U-23ワールドカップ)に行って自信をつけて帰ってきた」

さらに下山コーチは言葉を続ける。

「今はファームのときよりもバットを短く持っている。5月(17日)のソフトバンク戦(京セラD)で、サファテからレフトにホームランを打ったじゃないですか。バットを短く持つとホームランを打てないと思われがちですけど、しっかり捉えることができれば、サファテのような一流のピッチャーからも遠くに飛ばせるって本人が気づけたのは大きかったと思いますね」


メキシコとキャンプで手にしたモノ


「食べ物も合わないし治安も悪いメキシコで結果を出せたのは自信になっています」

 昨年オフにメキシコで開催されたU-23ワールドカップでは、日本代表として侍ジャパンのユニフォームに袖を通し、打率.455で外野手として大会のベストナインにも選出され、日本の優勝に大きく貢献した。

 現在の武田を語る上では欠かすことができない飛躍のキッカケとなった大会であり、この大会で目立ったのが“右打ちのバッティング”だった。

 そして春季キャンプでは、エンドランの場面でフライを打ち上げた武田に対して“鬼の福良”が発動。武田は昼食を食べずに約3時間に渡り室内で右打ちの練習に励んだ。

 このときの武田を下山コーチは次のように振り返る。

「彼にとってあのキャンプはかなり辛かったと思いますよ。でもあのキャンプがあるから今があると、武田が感じているから1軍に残っている。この前も三振が続いて『悔いのない打席にしよう。勿体ない打席にするな』と試合中に言ったら、しっかり切り替えて2塁打を打ったりする。ほとんどのピッチャーが初対決ですから、球を見てしまうのは仕方ない部分もあります。ホントそこは難しい部分ではあるんですけど、今の武田は前向きに捉えてくれるので、良い結果が出ていますね」

 春季キャンプの“鬼の福良”が功を奏したのか、4月20日の日本ハム戦(東京D)で加藤から放ったプロ初ホームランはライトスタンドに飛び込んだ。

「あれがホームランになるんだって正直ビックリしたんですけど、素直に嬉しかったですね。メキシコとか春季キャンプで右打ちの練習をしてきた成果がでたと思いたい(笑)僕はチームバッティングが求められる選手だと思うので、チームの決め事。例えば低めは振らないとチームで決めたら、何でもかんでも行かずに徹底する。その中でも積極的に行けるところはあるので、そこは積極的に行く。もし(積極的に)行き過ぎたなと思ったら試合中に修正するようにしています」


新たな希望


 ファーム時代も含めて、これまで武田からは節々に話を聞いてきた。昨年の開幕前は「頭と身体が一致しない」と述べていたが、今年は「頭で考えながら身体が動いている」と語っており、プロに入ってから最も充実したシーズンを送っている。

「4年間、結果が出てなくて悔しい思いをしてきました。僕のことを期待してくれたファンの皆さんにも悔しい思いをさせてしまったと思うので、もっともっと打って、チームに貢献することで恩返しします!」

 応援しているファンに対して力強く語ると、飛びっきりの“健吾スマイル”で練習に戻っていった。

 普段はASIAN KUNG-FU GENERATIONの『遥か彼方』を登場曲に選ぶなど、アニメ『NARTO-ナルト-』の大ファン。持ち前の明るさと笑顔は誰からも好かれる好青年だが、負けたくない選手を尋ねると「同世代ですね!」とキッパリ答えた。

 武田は大谷翔平(日本ハム)、藤浪晋太郎(阪神)、鈴木誠也(広島)らと同級生にあたる。オリックスでは入団からしばらく同級生不在だったが、昨年は青山大紀が、今年は黒木優太と澤田圭佑が入団。「同級生が入ってきたのは凄く嬉しかったし、刺激になっている」と話す。

 目標にしている選手は「内野手ですけど、小谷野(栄一)さんと中島(宏之)さん。チャンスに強いバッターになりたい」とのこと。将来的つけてみたい背番号については、「そのときに空いているベストな番号で。56にも愛着はありますけど、その日が来るように頑張ります」と語る。

 新外国人クリス・マレーロの加入により、外野手争いは熾烈を極めている。駿太や武田といった高卒の生え抜き外野手が活躍することで、糸井嘉男(現 阪神)の移籍や、陽岱鋼(現 巨人)の獲得失敗による外野手への不安は払拭されつつある。

 交流戦明けからの巻き返しを図るオリックスにとって、武田はキーマンとなる存在にまで成長した。このまま好調をキープし、不動のレギュラーの座をしっかりと掴みとってもらいたい。


文=どら増田(どらますだ)
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