天候にも恵まれない不運続き
開幕からなかなか勝ちに恵まれないオリックスのドラフト1位ルーキー・山岡泰輔が、またも不運に見舞われた。
6月18日のDeNA戦。早々に若月健矢の適時二塁打により2点の援護をもらった右腕だったが、雨天のために試合はノーゲームに。ここまで味方の援護なく勝利に見放されてきただけに、待望の援護点だったのだが…。早々の援護点は水に流れてしまった。
プロ初登板は4月13日のロッテ戦。6回まで3安打無失点と快投を披露するも、7回に痛恨の3ランを浴びた。6回3失点で敗戦投手となったが、試合はつくったと言える内容だろう。その後も、4月23日のロッテ戦では8回2失点、4月30日ソフトバンク戦では6回無失点と好投を続けるが、いずれも勝ちはつかず。味方の援護次第では、プロデビューから3連勝を飾っていてもなんらおかしくない内容だった。
その山岡がようやくプロ初勝利を挙げたのが、先発7試合目の5月28日・ロッテ戦。6回1失点で待望の白星を手にするとともに、チームの連敗を9で止める大仕事をやってのけた。続く6月4日の巨人戦は、8回1失点で2連勝。ようやく波に乗ってきたかに思えたが、6月11日の中日戦では7回1失点の好投むなしく、またも敗戦投手となっている。
援護はなくとも投球内容は光る
そもそも山岡はとことん援護に恵まれていない。
ここまで9試合の援護点は順に1、0、1、0、1、1、2、3、0となんとも寂しく、援護率はなんと1.37。リーグの規定投球回到達者のなかで最高の援護率を誇るのは6.35の則本昂大(楽天)で、ワーストが2.61のメンドーサ(日本ハム)であるから、山岡の援護率の異常な低さは一目瞭然である。
その一方で、山岡自身の投球内容はなかなかのもの。ここまで9試合・55回2/3を投げて防御率は2.59。6イニング以上を自責点3以内に抑えるクオリティ・スタートも9試合中7試合で達成しており、先発投手として十分な働きを見せている。
172センチ・68キロと小柄だが、鋭い腕の振りから繰り出す直球は最速152キロ。最大の武器である曲がりが鋭く大きいスライダーで三振を奪う力もあり、奪三振率も7.76と優秀だ。新人ながら臆することなく強打者の内角も思い切って突けるマウンド度胸も光る。
現在までのところ、味方の援護がないというちょっと残念な“プロの洗礼”を浴びている山岡だが、悪いこともあれば必ずいいこともある。
昨季の援護率12球団ワーストだった菅野智之(巨人)でも2.92という数字なのだから、山岡の援護率もさすがにこのまま低空飛行を続けるはずはない。いずれ、先輩たちによる温かい援護があるだろう。腐ることなく、今の若々しく思い切りのいい投球を続けてほしい。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)