生きのいい新人遊撃手の当たり年
源田壮亮(西武)や糸原健斗(阪神)ら、生きのいい新人遊撃手がそろって現れた今シーズン。中日の京田陽太もそのひとりだ。
高校時代の甲子園出場経験はないが、強豪・青森山田高で1年から遊撃のレギュラーをつかみ、日本大4年時には日米大学野球選手権大会の日本代表入りも果たすなど、世代を代表する遊撃手として成長してきた。
プロ入り後もこれまでは順調そのもの。春季キャンプでも一軍のメンバーに名を連ね、3月31日の巨人との開幕戦では見事に7番・遊撃のスタメンを勝ち取った。ここまで74試合に出場し、うち67試合がスタメン出場。1年目から遊撃のレギュラーを完全に奪った格好だ。
フットワークやグラブさばきに秀でた堅実な守備に加え、広角に打ち分ける打撃技術もある。さらに50mを5.9秒で駆け抜ける俊足という武器も持ち併せており、足で稼ぐこともできる。事実、京田が記録している内野安打25本は断トツの12球団トップの数字であり、5本の三塁打も12球団トップタイだ。打率も.282と、新人としては十分に及第点の数字を残しており、4月下旬からは1番打者に定着した。
盗塁の精度、選球眼に課題あり
この京田や、パ・リーグでは源田の活躍もあり、「21年ぶりの両リーグ野手新人王なるか」といった声もあるが、まだまだ粗さも目につく。
たとえば、現在リーグ3位の成績を残す盗塁。ここまで14個を記録している一方で、盗塁死も5つ。成功率にすると73.7%とごく平均的な数字だ。
また、四球を選べないことも大きな課題となる。ここまで299打席に立って四球はわずか8。四球ひとつを選ぶために必要な打席数を表すPA/BBは37.38となっており、これは規定打席到達者32人のなかでは31.80のロペス(DeNA)を大きく下回る断トツのワーストである。
ちなみに、PA/BBのトップスリーは筒香嘉智(DeNA/6.16)、山田哲人(ヤクルト/6.37)、糸井嘉男(阪神/6.81)。今年は不調と言われる筒香や山田も、ボールの見極めに関してはさすがの数字を残している。
一方、四球を選べない京田の出塁率は当然伸びない。打率は.285と優秀な数字を残しているのに対し、出塁率は.313。トップバッターとしては物足りないと言わざるを得ない現状だ。
これまでの奮闘ぶりは評価に値するが、あとはここからどれだけ一軍で通用する盗塁技術や精度、また四球を選べる選球眼やいやらしさを身につけられるか。若きリードオフマン・京田陽太の挑戦は続く。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)