最下位チームにいるふたりの夏男
オールスターゲームも終わり、2017年のプロ野球もいよいよ後半戦に突入。暑さもどんどん厳しくなっていくなか、シーズンも100試合を超えてくると一気に疲れも出てくるところ。しかし、ここで燃え尽きてしまっては優勝争いがかかる9月、ひいてはポストシーズンにも影響が出てくる。
そんな体調の調整が難しい時期にもかかわらず、夏になると調子を上げてくる選手がいるのも事実。古くは「ミスターオーガスト」と称された宇野勝(元中日など)や、8月の月間MVPを過去に2度獲得している江藤智(元広島など)あたりが有名だろう。
今回は後半戦のプロ野球を盛り上げる“夏男”を取り上げてみたい。
まずはセ・リーグ。現在のプロ野球界で“夏男”のイメージが最も強い選手といえば、ヤクルトの山田哲人だろう。
実際にレギュラーに定着した2014年からの3シーズン、7~8月に放ったヒット数69本は現役選手のなかでも最多で、通算打率も.338を記録している。
今シーズンは6月終了時点の打率が.219という大スランプに見舞われたが、7月はここまで月間打率.290をマーク。通算打率も.229と徐々に調子を上げ始めている。得意の季節に完全復活を…。信じて待つファンの期待に応えることができるだろうか。
また、実はヤクルトにはもうひとりの“夏男”がいる。2015年の首位打者・川端慎吾だ。
2014年~2015年の2年間に限定すれば、7・8月のヒット数は山田をも上回る。昨季は故障のために8月を棒に振ったが、それでも7月の打率は.318と好調だった。
今季は椎間板ヘルニアの影響で未だ一軍出場はないが、7月末の復帰を目指して奮闘。燕の夏男はチームの救世主となるか。川端の動向に注目だ。
楽天の首位キープに欠かせない夏男
一方、パ・リーグ最強の夏男といえば、楽天の銀次の名前が挙がる。
2014年からの3シーズンの7~8月の通算打率は.301。昨シーズンも7月に打率.361を記録している。今季もここまで7月の月間打率は.397と打ちまくっており、打率もリーグ4位まで浮上してきた。
ソフトバンクと熾烈な上位争いを繰り広げるチームの中で、7月11日に行われた首位攻防戦では勝ち越し打を放ち、前半戦首位ターンの立役者となった。この時期に強い“夏男”の存在は、上位争いを続けるチームにとって心強いことこの上ない。
チームの命運を左右する“夏男”の存在。ここまで紹介してきた選手以外にも、新たな新星の誕生はあるのか。厳しい夏場の戦いで輝く“夏男”に注目だ。
文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)