どら増田のオリ熱魂!第12回・西野真弘
オリックスの“元気印”西野真弘が、8月1日のソフトバンク戦(京セラD)で今季初本塁打を右翼レストラン席の真下に放った。
昨年は糸井嘉男(現・阪神)とともに全試合に出場した西野だが、今年は開幕から不振が続き7月8日に登録抹消。ファームでの調整を経て7月25日に再び一軍に帰ってきた。
思わぬ躓き
尊敬する平野恵一氏(現・阪神打撃コーチ)を継承する形で、背番号を「5」に変更して臨んだ今シーズン。西野は自主トレ、春季キャンプと充実した日々を送り2年連続で開幕スタメンの座を射止めたが、その開幕カードで迷いが生じる。
「開幕3連戦でヒットが出なかった。そのあと少し打ち出すんですけど、自分の中でコレというものがなかったんですよ。とにかく振って体を強くしようと、気持ちは振り切れているけど、しっくりこない。その分、練習するんだけど練習でつかめなかった。やればやるほど悩んでしまった」
その結果、スタメンから外されることも多くなり、登録抹消される前日までは19打席連続無安打という大スランプに陥ってしまう。
二軍での苦悩と得たもの
元来、考え過ぎる性格が故、昨年も失策の多さに悩み、バッティング練習の時間を守備に割いたり、京セラドームに最後まで居残って練習をするなど、とにかく練習をすることで直面する問題を解決してきた。そんな西野にとって、練習で解決できない悩みほど辛いことはない。
ファームでは辻竜太郎・二軍打撃コーチが付きっ切りで指導してくれたという。
「最初のティーバッティングを見てもらったときに、フォームが崩れてたみたいで、『焦ってやるな!イチから思い出せ!』って竜太郎さんに言われて、毎日意見交換をしながらフォームを戻していきました。最初は早く一軍に戻りたいという気持ちが強くて、それが辛かったけど、途中から良い状態になってから上がろうと切り替えました」
昨年の開幕からずっと突っ走ってきただけに、一度抹消されたのは自分自身を見つめ直すいい機会になったようだ。ファームでは全試合に出場し、本職のセカンドだけじゃなく、久々にサードの守備にもついた。
「サードをやらせてもらったのは、自分自身に幅が出来ますし、セカンドからは見えない景色も見えたのでいい経験になりましたね」
再登録後、一軍でも2年ぶりにサードの守備についている。内外野ともにポジション被りが深刻化しているだけに、選択肢が増えることは西野にとってもプラスになるはずだ。当然、チームにとっても悪いことではない。。
T、安達とともにチームを牽引
また1日のソフトバンク戦ではホームランの他に、バントを3打席成功させているのも大きい。
「バントはファームでも練習に入れてもらっていたので、しっかり決められたのはホームランよりも嬉しいですね。やっぱり繋ぐ意識が強いからバントは大事です」
“繋ぐ野球”は、西野真弘というプロ野球選手にとって欠かせないワードになっている。この意識があるからこそ、打順に一切の拘りがない。「何番であろうと後ろの良いバッターに繋ぐのが僕に求められている」という西野の意識は、強打者が多いオリックス打線の“潤滑油”となり得る。
「ここまで不甲斐ない結果だったので、ここから挽回して、ファンの皆さんの信頼を取り戻せるように、また応援してもらえるように、頑張ります」
チームが好調な春先ですら持ち前の明るさが消えていた西野だが、ファームで苦悩から脱却したことで明るさを取り戻していた。今年はT-岡田、安達了一とともに声がけを積極的に行うなど若いチームを引っ張る役目も果たしている。若手選手からの人望も厚いだけに、残りのシーズンは西野の笑顔にチームを託せるような存在になってもらいたい。
取材・文=どら増田