ピリッとしないアストロズ
アメリカ南部を襲ったハリケーン「ハービー」。ロイター通信によるとハリケーンによる死者は35人に達するなど、数百年に一度の規模ともいわれる天災が甚大な被害をもたらしている。
影響は野球界にも及んだ。大洪水に見舞われたテキサス州のヒューストンに本拠地を置くアストロズは、29日(現地時間)から地元で開催予定だったレンジャーズとの3連戦をフロリダ州のトロピカーナフィールド(レイズの本拠地)に移し、行われている。
そのアストロズだが、依然ア・リーグでは最高勝率を誇るものの、チーム状態はピリッとしない。4月からの月間成績を見ると、順に16勝9敗、22勝7敗、16勝11敗、15勝9敗と7月までは順調に勝利を重ねていた。しかし8月は1試合を残し、10勝17敗という体たらく。一時は7割を超えていた勝率もついに6割を切ってしまった。
アストロズに“急ブレーキ”がかかった理由の1つが得点力の低下だ。1試合平均得点を見ても、7月までの「5.90」から8月は「3.96」と2点近くも減っている。これは、若き4番のカルロス・コレアの戦線離脱が大きい。7月17日の試合で親指の靱帯を損傷し、全治4~6週間という診断が下されたが、先週ようやくマイナーで実戦復帰を果たしたところだ。
思わぬ誤算!?
そして得点力低下の隠れた要因とも言えるのが、7月下旬に行われた青木宣親のトレード放出だ。アストロズが青木を放出した裏には、若手の有望株デレク・フィッシャーの台頭があった。そのフィッシャーは青木が放出された7月末時点で11試合、打率.317、3本塁打、8打点という好成績を残していた。しかし青木が去り、定位置を与えられた格好の若き主砲は、8月に入るとスランプに陥ってしまう。8月の月間成績は20試合、打率.158、1本塁打、3打点とチームの期待に応えられていない。
また、フィッシャー以外にもジョージ・スプリンガー(8月成績=打率.195、2本塁打、5打点)やジェーク・マリズニク(同.217、3本塁打、4打点)といった外野手も不調に陥っている。一方で放出された青木は新天地のブルージェイズ(その後、自由契約)で12試合の出場に終わったが、打率.281、3本塁打、8打点と限られたプレー機会の中でしっかり活躍して見せた。
8月に入って失速したアストロズだが、主砲のコレアが数日以内にはメジャーの舞台に戻ってくると伝えられている。被災した地元ファンのためにも、2年ぶりのプレーオフを見据え、アストロズの戦いぶりに注目が集まる。
文=八木遊(やぎ・ゆう)