大失速の傍らで…
ダルビッシュ有と前田健太が所属しているため、日本でも注目度が高いドジャース。現地時間10日のロッキーズ戦に敗れ、チームの連敗は25年ぶりとなる「10」に伸びた。8月26日以降の16試合では1勝15敗と、大失速中だ。
それでも、現在の勝率はメジャー最高の「.643」(92勝51敗)。地区2位のダイヤモンドバックスとは9ゲーム差があり、よほどのことがない限り逆転は許さないだろう。
そのドジャースの陰で、今季開幕から苦しんできたのが同地区のジャイアンツ。かつては同じニューヨークに本拠地を置き、ともに西海岸に移転してきた最大のライバルだ。地区優勝は2012年が最後だが、2010年、2012年、2014年に世界一に輝いている(※2014年はワイルドカードからの制覇)。また、過去9年間のうち2011年を除き、ドジャースかジャイアンツのどちらかナ・リーグ西地区を制覇している。
そのジャイアンツだが、今季は開幕から低迷中だ。オフに目立った補強をしなかったため、ある程度の苦戦は予想されていたが、4位パドレスとの差は9.5ゲーム…。10年ぶりの地区最下位が現実味を帯びている。
歴史的大低迷
ジャイアンツの現在の成績は56勝89敗(勝率.386)。勝率は、メジャー全体でもフィリーズの「.378」に次ぐ、ワースト2位である。このまま3割台の勝率に終われば、ニューヨーク時代も含めた135年間のフランチャイズ史上、6度目ということになる。サンフランシスコに移転した1958年以降で、最も勝率が低かったのが1985年の.383。ジャイアンツはその年、チーム史上唯一のシーズン100敗を喫している。残り17試合、チーム史上2度目の100敗だけは回避したいところだろう。
今季、ジャイアンツが低迷している要因は得点力の低下に尽きる。レギュラー選手で額面通りの活躍を見せているのは、捕手のバスター・ポージー、さらにジョー・パニックとブランドン・クロフォードの二遊間コンビの3人だけ。1試合平均得点(3.8得点)は、パドレスの3.7得点に次ぐメジャーワースト2位。本塁打数(116本)はメジャーワーストという有様だ。
投手陣もエースのマディソン・バムガーナーが4月に戦列を離れるなど、足並みはそろわず。昨季18勝を挙げたジョニー・クエトは、故障もありここまで僅か7勝に終わっている。チーム防御率も昨季のメジャー4位から20位まで落ち込んだ。またドジャースのコディ・ベリンジャーやコーリー・シーガーのような生きのいい若手の有望株も見当たらないのが現状だ。
2010年代のメジャーリーグを牽引してきたジャイアンツ。ライバル・ドジャースの背中はこのまま遠のいてしまうのだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)