再昇格後に課題の打撃で猛アピール!
日本ハムのドラフト2位ルーキー・石井一成が遊撃レギュラー奪取へ猛アピールを続けている。
プロ1年目の今季、見事に開幕一軍入りを果たすと、3月31日の西武との開幕戦で代走として早速プロ初出場。その後は主に二塁、遊撃で出場を続けていたが、6月には月間打率.067を記録するなど打撃成績は低迷。8月7日にファームに降格した時点での打撃成績は打率.169、2本塁打15打点というものだった。
ところが、右脇腹を痛めた中島卓也に代わって8月29日に一軍再昇格を果たすと、その後は絶好調。以降25試合全てに「9番・遊撃」としてフルイニング出場を続け、その間に限れば打率.268、1本塁打、6打点をマーク。9月26日~27日のオリックス戦では、2試合で10打数6安打の大暴れを見せた。
9月28日の楽天戦では快音は聞かれなかったが、プレッシャーのかかる場面で自らに課せられた仕事をきっちり完遂。9回一死二塁で打席に立った石井が見事に初球で送りバントを決め、試合開始時点で防御率0.36を誇った鉄壁のクローザー・松井裕樹に2敗目をつけるサヨナラ勝利につなげている。
豊作が続く新人遊撃手の仲間入りへ
作新学院高時代の栃木県大会ではコンスタントに高打率を残し、2年秋から3季連続で優秀選手を獲得するなど、もともとバットコントロールがいい巧打者として知られていた。今後も当然プロの壁に阻まれることもあるだろうが、それを乗り越えて石井が打撃でアピールを続けていけば、中島も安穏とはしていられない。
昨季の中島の打率は、規定打席到達打者28人中最低の.243であった。しかし、注目を集めた“ファウル打ち”によって相手投手の肉体的・精神的疲労を呼び込み、加えて選んだ63四球はリーグ10位。出塁率も.333とまずまずの数字を残し、守備負担が大きい遊撃手であれば及第点という評価であった。
ところが、今季の中島の打率は.208とさらに低下。四球が減ったことで出塁率も上がらず、ここまで.268という数字にとどまる。加えて三振が多いこともあって、いかに守備負担が大きい遊撃手といえど、日本ハムファンからも不満の声が上がっているのも事実である。
とはいえ、石井も中島以上に三振が多いという欠点はある。石井の「何打席に1三振するか」という指標であるPA/Kは3.16。約3打席ごとに三振を喫していることになり、規定打席到達者26人中最下位であるペゲーロ(楽天)の3.77をも大きく下回る。首位打者争いをするような高打率を残したり、あるいは本塁打を量産できるのなら三振の多さにも目をつぶれるが、さすがに改善が必要だろう。
ただし、遊撃手として重要な守備の評価はプロ入り前から非常に高く、栗山英樹監督も春季キャンプ中から「宮本(慎也/元ヤクルト)みたいだ」「あんなにうまい内野手は久々に見た」と絶賛。限られた出場機会のなかで10失策を記録するなど粗さもあるが、ポテンシャルの高さを感じさせる好プレーも披露している。となれば、中島との勝負はやはり打撃が鍵となりそうだ。
昨季は茂木栄五郎(楽天)、今季は源田壮亮(西武)、京田陽太(中日)と、新人遊撃手の豊作が続く球界。彼らに続いて石井も早々にレギュラー奪取を果たせるか。今後の中島とのポジション争いが大いに楽しみだ。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)