強打者の指標
2017年プロ野球公式戦も残るところわずか。全12球団のうち5球団はすでに公式戦の全日程を終えた。
ここまでの個人成績で目に付いたのが、DeNA・ロペスの数字だ。今季は142試合に出場して打率.301、30本、105打点と、チームニ冠の活躍。打点はセ・リーグトップで、自身初の打撃タイトルをほぼ手中にしている。
2015年に「トリプルスリー」が流行語大賞の年間大賞に輝いたことを覚えているだろうか。打率3割・30本・30盗塁を達成した選手を指すが、その年は山田哲人(ヤクルト)と柳田悠岐(ソフトバンク)が同時に達成。オフシーズンの話題をさらった。
そのトリプルスリーに比べるとややハードルは下がるが、「3割・30本・100打点」も中長距離打者の目標、目安として長年親しまれている。
来日5年目のロペスは、3部門すべてで主砲・筒香嘉智を上回る堂々の成績を残し、初めてこれをクリアした。ロペス以外で最も近い位置にいるのが柳田(.310・31本・99打点)だが、9月に負傷し、クライマックスシリーズ中の復帰も微妙な状態。1打点足りずにシーズンを終えそうだ。
過去10年で達成者は9人
2008年以降の過去10年で「3割、30本、100打点」を達成した選手は今季のロペスを含め9人いる。以下がその一覧だ。
【近年の3割・30本・100打点達成者】
2008年:ラミレス(巨人)、村田修一(横浜)、カブレラ(オリックス)
2009年:ラミレス(巨人)、小笠原道大(巨人)
2010年:ラミレス(巨人)
2011年:なし
2012年:なし
2013年:ブランコ(DeNA)、バレンティン(ヤクルト)
2014年:なし
2015年:山田哲人(ヤクルト)
2016年:筒香嘉智(DeNA)、山田哲人(ヤクルト)
2017年:ロペス(DeNA)
[※2008年以降]
現DeNA監督のアレックス・ラミレスは巨人時代の2008年から3年連続で達成。また、今季は不振にあえいだ山田哲人が2015年と2016年に2年連続で達成している。こうして見ると、いわゆる“統一球”が使用されたシーズン(2011~12年)と14年を除けば毎シーズン達成者が出ている。
特徴としては、パワーで勝る外国人選手が多く、本塁打が出やすい球場をホームにしている選手が多いことがわかる。
そして、達成した9人のうち8人がセ・リーグから誕生している点も見逃せない。パ・リーグでは2008年のカブレラ(当時オリックス)を最後に誕生していないのだ。
今季は残り1打点まで迫った柳田悠岐だったが、トリプルスリーに輝いた2年前にも悔しい思いをしている。その年の最終成績は打率.363、34本、99打点。今季と同じく1打点足りずにシーズンを終えた。9月に死球を受け、シーズン終盤に戦列を離れたためだが、故障さえなければと思わずにはいられない。
一流中長距離打者の証しともいわれる「3割、30本、100打点」。来季はいったい誰が達成してくれるだろうか。
文=八木遊(やぎ・ゆう)