どら増田のオリ熱魂!第18回・大城滉二
「今年は試合に出させてもらって、昨年よりは凄く勉強になったシーズンになりました」
オリックスの大卒2年目・大城滉二は今季、121試合に出場(7日終了時点)した。昨季の64試合から大きく飛躍し、内野手では小谷野栄一に次いでチームで2番目に多い出場機会を得たことになる。スタメンでの起用も93試合と、来季は内野の定位置確保が期待されている。
成長の跡と来季への課題
このファーム行きを大城は、「キャンプでファームに落ちてチームバッティングに磨きをかけられたのは大きかった」と振り返る。今季の犠打は「35」と、ソフトバンク・今宮の「52」に次ぐリーグ2位の数字を残し、走者一塁の状況では右方向の打球が全体の「55%」を占めたと進塁打の意識も強い。
また今季は、昨年からバッティングに対する考え方を変えたという。
「昨年は来た球をどんどん打って行こうとイケイケなところがあったんですけど、今年は打席に入るまでちゃんと考えるようになった。なかなか言葉にするのは難しいんですけど(笑)。結果、プロのピッチャーの球に対応できつつあるという実感はあります」
今季の大城は100試合出場、打率.270、出塁率.300を目標にしていたが、試合数は大きくクリアしたものの、打率と出塁率は2分ほど開きがある。
「そこが来季への課題になりますね。とにかく三振が多いので、そこをクリアしたい」
今季は341打数83安打で59三振。凡打の23%が三振によるものだが、長打率.296は足の速い大城の可能性を感じる数字でもある。
ユーティリティプレーヤーから定位置確保へ
そして今季は西野真弘の不調、安達了一の体調が優れないという内野手事情の中、大城はユーティリティプレーヤーとして守備でチームに貢献してきた。試合中の守備交代は28試合もあり、その内の2試合では3つのポジションを守っている。
選手の守備に関して厳しいことで知られている風岡尚幸内野守備走塁コーチも「大城は本来ショートだけど、ショートには安達がいるのでセカンドでの起用になっている。ダブルプレーを取るときの送球は速いし、肩が強いからセカンドでも深く守れる。ショートでも十分通用する選手だけど、セカンドの守備範囲も魅力的な選手。もちろん彼に求められるのは守備だけじゃないので、そこをクリアすれば楽しみですよね」と評価した。
「セカンドは見える景色も違うし、いい経験になってます。守備変更のときの心境ですか?アウトにすることしか考えてないので問題ないです」
アマチュア時代はショートとして活躍した大城だが、セカンドや外野の守備はプロに入ってから初めてついたポジション。しかし今はセカンドがしっくり来ているという。
今季はプロ初ホームランも放ち「プロ野球選手として自信になりました」という大城だが、何より「スタメンで出続けていることが大きい」と話す。
来季の内野陣は西野も黙っていないだろうし、安達も復帰を果たすだろう。小谷野栄一の存在も大きい。そしてシーズン終盤には近未来のセンターラインを担う存在として期待される宗佑磨や岡崎大輔が一軍に昇格してきた。今季著しい成長を見せた大城に求められるのは、来季のレギュラー獲りだ。まだまだ大きな可能性を秘めている大城には、今年の自信を確信に変える活躍を期待したい。
取材・文=どら増田(どらますだ)