引退してすぐの監督就任
ロッテは12日、今季限りで現役を引退した井口資仁の来季監督就任に関して基本合意に至ったことを発表。パ・リーグでは最年少の監督となる。
井口新監督といえば、1997年に入団したダイエー時代は強打の二塁手として活躍。意外なことに打率3割超えは2度しかないが、2度の盗塁王に輝くなど、走攻守そろった内野手としてチームの中心的存在に。入団当時は弱小チームだったダイエーが常勝軍団へと成長して行くうえで大きな役割を担った。
その後、2005年にメジャーリーグに挑戦。渡米1年目にホワイトソックスの世界一に貢献するなど、2008年までメジャーでプレー。計4球団を渡り歩いた。メジャー最終年の08年は出場登録こそなかったが、フィリーズの一員として自身2個目のチャンピオンリングを手にしている。
そして2009年からはロッテでプレー。ダイエー時代よりも長い9年間を過ごした。ロッテ2年目の2010年には、3位からの“下克上”で自身3度目の日本一に。日米で過ごした21年間の現役生活では、多くの苦難も美酒も味わった選手だった。その経験は指導者として必ず生きるだろう。
実は“一番乗り”
ちなみに、メジャーリーグを経験した日本人がNPB12球団の監督に就任するというのは、井口新監督が初めてのことになる。
日本人メジャーリーガーといえば、1995年に野茂英雄氏が挑戦して以降、多くの選手が夢を追って太平洋を渡った。メジャーでの戦いを終え、最後は日本でキャリアを終えるというパターンも増えていたが、意外なことに“監督”とはなかなか縁がなかった。
記念すべき“メジャーリーグを経験した日本人監督第1号”となった井口新監督であるが、候補は他にもいる。その筆頭がオリックスの田口壮二軍監督だ。
田口二軍監督といえば、カージナルス時代に名将トニー・ラルーサ監督の下でプレー。世界一にも輝いている。オリックスは福良淳一監督の来季続投をすでに発表しているが、そのあとは田口二軍監督の昇格が既定路線とも言われている。
他にも、ヤクルトの高津臣吾二軍監督も真中満監督の後継者として候補に挙がっていた。結局、小川淳司前監督の4年ぶり再登板が決まり、“高津監督”誕生は見送られた。
さて、話を井口新監督に戻す。昨季まで2年連続のAクラス入りを果たしていたロッテだが、今季はよもやの最下位転落。最終盤こそ意地を見せたものの、苦しい1年となった。いきなりチームを立て直すことは容易なことではない。
しかし、選手の1人として戦っていただけに、もちろんチーム事情は熟知している。監督としては“新米”だが、日本のみならずアメリカでも様々な経験を積んだこの男なら…と期待を寄せるファンも多いことだろう。
どん底からの巻き返しへ、新生・井口マリーンズの戦いがはじまる。
文=八木遊(やぎ・ゆう)