いよいよ開戦!クライマックスシリーズ
きたる10月14日からいよいよクライマックスシリーズ(以下CS)のファーストステージが始まる。
セ・リーグは2位・阪神が2年連続CS進出を果たした3位・DeNAを本拠地に迎える。下馬評では「『投』の阪神vs.『打』のDeNA」という見立てが多くなっているが、実際のところの数字ではどうなっているのか。今回は両チームの今季成績を振り返って比較してみた。
打力に目立った差はなし?
▼ 阪神タイガース・2017年成績
78勝61敗4分 勝率.561
[打撃成績] 打率.249 本塁打113 打点559 得点589 三振1008 四球531 盗塁70 出塁率.327 長打率.371
[投手成績] 防御率3.29(先発3.66/救援2.64)奪三振1223 与四球448 被本塁打92 失点528(自責470)
▼ 横浜DeNAベイスターズ・2017年成績
73勝65敗5分 勝率.529
[打撃成績] 打率.252 本塁打134 打点571 得点597 三振1091 四球378 盗塁39 出塁率.311 長打率.391
[投手成績] 防御率3.81(先発3.76/救援3.90)奪三振1117 与四球492 被本塁打128 失点598(自責544)
今季の阪神は例年に比べて長打力が格段にアップ。糸井嘉男の加入や中谷将大の台頭が大きく、昨年から23本を上積みして2010年以来となる3ケタ本塁打に到達した。
さらに、鳥谷敬ら4名が50個以上の四球を選び、積み上げた531四球は両リーグトップ。結果、打率ではDeNAをわずかに下回るものの、出塁率ではDeNAを逆転。本塁打や得点、長打率では数字上及ばないが、本拠地球場の広さの違いを考慮すると、打撃力にはさほど差がないと言っていいだろう。
カギを握る『救援陣』
一方で、投手力は阪神がかなり優勢。特に力の開きが大きいのが中継ぎ陣だ。
阪神とDeNA、それぞれの先発防御率は3.66/3.76と大差ないが、救援防御率となると阪神の2.64に対してDeNAは3.90。当然、投手成績にも本拠地球場の違いは影響するが、この数字の開きはそれだけでは片付けられそうにない。
プロ野球史上初めて5名の投手が60試合登板を果たしたことで大きなニュースとなったように、今季の阪神は力強い中継ぎ陣に支えられてきた。「先発陣が長い回を投げられなかった」とも言えるが、中継ぎ陣の力を信頼し、早めの継投策をとった結果でもある。事実、阪神の中継ぎ陣が挙げた救援勝利31は12球団トップの数字だ。
対するDeNAの中継ぎ陣はというと、守護神・山崎康晃とセットアッパーのパットンはそれぞれ防御率1.64、2.70と優秀な数字を残している。しかし、30試合以上に登板した他の中継ぎ投手の防御率を見てみると、砂田毅樹(4.12)、三上朋也(5.12)、田中健二朗(4.47)、加賀繁(4.44)、平田真吾(4.71)となかなか厳しい数字が並ぶ。頼りにできそうなのは、今季途中にトレードで加入してシーズン終盤に安定した投球を見せていたエスコバー(防御率3.44)くらいだろうか。
当然、阪神としては早めに相手先発を引きずり降ろしたいところ。DeNAからすれば、なんとか先発を引っ張ってパットン、山崎につなげたい。力の差がある中継ぎ陣、その継投をめぐる攻防が両チームの命運を握りそうだ。
甲子園で強いDeNA
こうしてみると、戦力としては阪神に分があるように思える。しかし、虎党にとってありがたくないデータも…。
今季の両チームの対戦は、阪神が14勝10敗1分で勝ち越し。ところが、敵地・横浜スタジアムでは8勝3敗1分と大きく勝ち越しを作りながら、本拠地・甲子園では6勝7敗と負け越しているのだ。
中でも左腕の今永昇太は甲子園で今季3戦3勝、防御率は0.48と圧巻の成績。助っ人のウィーランドも甲子園で2戦2勝の防御率1.76と、DeNAサイドに甲子園を得意とする先発投手が揃っている。
最終盤までもつれた争いを制し、本拠地開催権を掴んだ阪神。大応援団をバックにDeNAの“下克上”を阻止することができるか。空模様も心配なセ・リーグのCSファーストステージは14日の14時に開幕する。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)