メジャー挑戦が濃厚な日ハム・大谷
今シーズンも残すところ約2週間。日米では連日、ポストシーズンの熱い戦いが繰り広げられている。そして、日本一、世界一が決した後は、日米で大谷翔平(日本ハム)の動向に注目が集まることになるだろう。
ポスティングによるメジャー挑戦が濃厚な大谷には、メジャーのほとんどの球団が興味を示しているという。投打に非凡な才能を秘める大谷を“格安”で獲得できるとなれば、食指を動かさない理由はない。
ただし、このポスティングシステムについては現在、日米間で協議がされており、その結果次第では日本ハムが大谷の移籍を容認しない可能性も否定はできない。
1995年に野茂英雄氏が日本からメジャーへの扉を開けてからほぼ毎年のように日本人選手がメジャーに挑戦してきた。90年代後半は年間1~3人だったが、2000年代半ば以降は一挙に4~5人が挑戦する年も珍しくなかった。ここ数年は野手の挑戦が激減し、1人か2人という年が続いていたが、昨年は1人もメジャーに挑戦しなかったため、大谷の移籍が実現すれば2年ぶりに日本からの挑戦ということになる。
オリ・平野もメジャー挑戦か
さらに大谷以外に、オリックスの平野佳寿とロッテの涌井秀章が海外FA権の行使を示唆している。球団側は慰留に努めるようだが、年齢的にも最後のチャンスとなるだろう。条件次第になるが、夢への挑戦を選択する可能性は高いと言えそうだ。
さらに西武の牧田和久もメジャー挑戦の意思を示してきた。ただし牧田は海外FA権を取得していないため、ポスティングでの移籍を球団に直訴する必要がある。このように、現時点で判明しているだけでも4選手が今オフにメジャーに挑戦する可能性がある。
4人は、いずれもパ・リーグの投手、そして大谷を除く3人がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でプレーした経験を持つ。WBCという大舞台に加え、アメリカの地で世界の一流選手と戦った経験は大きいのかもしれない。
活躍のカギはメジャー球への対応
日本人投手にとって、メジャーで活躍できるかどうかのカギはメジャー球への対応、そして特有のマウンドにフィットするかどうかだ。平野、涌井、牧田はいずれも現在がピークとは言い難いが、成功のチャンスは十分あるだろう。かつて斎藤隆氏が36歳で渡米し、息を吹き返したように、日本時代を上回る活躍を見せる可能性もある。
長きにわたってパ・リーグの舞台で戦ってきた投手たちが、来季アメリカの地で投げ合うことはあるのだろうか。決して長くない野球人生。選手たちには、悔いのない選択をしてもらいたい。
文=八木遊(やぎ・ゆう)