1番・柳田が躍動
ソフトバンクのサヨナラ勝ちで幕を閉じた日本シリーズ。MVPは第6戦で来日初となる3イニングを無失点に抑えるなど、大車輪の活躍を見せた守護神デニス・サファテが選ばれた。その他各賞は柳田悠岐、内川聖一(ともにソフトバンク)、浜口遥大(DeNA)の3名が優秀選手賞を受賞し、宮崎敏郎(DeNA)が敢闘選手賞を受賞している。
なかでも第1戦から3戦連続で先頭打者として出塁し、先制のホームを踏んだ柳田は故障明けとは思えない働きを見せた。
シリーズを通じて本塁打こそ出なかったものの、打率.320を記録しチーム最高打率を記録。シーズンでは打率.310、31本塁打、99打点の成績を残しており、長打、それも本塁打の期待できる1番打者は他球団にとって大きな脅威となるだろう。来季、工藤公康監督が柳田を1番に据えるかはわからないが、ひとつのオプションとしては面白そうだ。
『コツコツ&走れる』はもう古い?
思えば前半戦を首位で折り返すなどパ・リーグの戦いを盛り上げた3位の楽天も、快進撃の陰にはトップバッターとして攻撃を牽引する“核弾頭”の存在があった。プロ2年目・茂木栄五郎の躍動である。
開幕戦から「1番・遊撃」に定着すると、交流戦終盤に故障で離脱してしまうものの、最終的には規定打席に到達して打率.296、17本塁打、47打点をマーク。球団史上初となる生え抜き選手による2ケタ本塁打を達成した。
3位で出場したクライマックスシリーズでは、ファーストステージの西武戦とファイナルステージのソフトバンク戦で初回先頭打者本塁打を放つなど、持ち味を存分に発揮した。
また、その茂木擁する楽天を終盤で差し切り、2位でシーズンを終えた西武にも頼れるトップバッターがいる。首位打者と最多安打の二冠に輝いた秋山翔吾だ。
プロ野球のシーズン最多安打記録保持者は、今季チーム最多の111試合に1番打者として出場。2度目の最多安打に加え、悲願の首位打者を獲得した。そんなこともあって、秋山に対しての印象は“安打製造機”というイメージを浮かべる方も多いかもしれないが、実は“長打力”が飛躍的に成長したシーズンでもあった。
今年はキャリアハイとなる25本塁打を記録。打率も稼げて長打も打てる、という更に厄介な打者へとステップアップした。来季は打率3割はもちろん、30本塁打への期待もかかる。
セ・リーグでも阪神で糸井嘉男が25試合で1番に起用されたり、ヤクルトの山田哲人が16試合で1番に入ったりなど、いわゆる『俊足巧打』タイプではなく『強打者』をトップに置く作戦も多く見られた。
時代によって戦術が変わる球界の流れ。来季はどんなトレンドが生まれるのか、各監督の采配に注目が集まる。