若き侍が躍動!
稲葉篤紀新監督にとって初の国際試合となった「ENEOS アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」。24歳以下(1993年1月1日以降生まれ)の選手、もしくは入団3年目以内の選手に加えてオーバーエイジ枠3名で構成された若き侍ジャパンは、3戦全勝でアジアの頂点に立った。
韓国との初戦こそ主導権を握られる苦しい展開となったが、延長タイブレークの末に大逆転でサヨナラ勝ちを収めると、第2戦では先発した今永昇太(DeNA)が6回12奪三振の快投。決勝戦も田口麗斗(巨人)が韓国打線を封じ込め、打っては打線も全試合で7得点以上をマーク。投打とも若き力が見事に噛み合っての優勝だった。
中でも輝きを放ったのが、大会MVPに輝いた外崎修汰である。
外崎は3試合すべてで「6番・左翼」として出場。チャイニーズ・タイペイ戦で先制弾を含む3安打・2打点の活躍を見せると、決勝でも2打席連続で適時打を放つなど、2試合連続で殊勲打をマーク。大会通算.462という高打率を残した。
また、守っては試合途中に左翼から三塁に回るなど、持ち味であるユーティリティ性も発揮。チームに欠かせない存在としてインパクトを残した。
国際試合で輝く“ユーティリティ性”
今大会はどうしても猛打の方に目を奪われてしまいがちであるが、外崎の最大のウリと言えば「内外野問わずどこでも守ることができる」という器用さだろう。
元は内野手でありながら、今季は外野手としてレギュラーに定着。外野で118試合に出場をしながら、試合中のポジション移動は日常茶飯事。二塁は50試合、三塁も27試合と与えられた持ち場で役割を果たしてきた。
長いシーズン、激しい戦いの中にケガや不調はつきもの。そのため、リスク管理の面から複数ポジションをこなせる選手はかなり重要。監督からも重宝される。外崎もはじめはそこからチャンスを掴み、チームに欠かせない存在へと登りつめていった。
一方、短期決戦では「打」や「走」で試合の流れを変えられる“切り札”的存在の優先度が高くなり、どちらかと言うと“便利屋”的存在は後回しにされがちになる。メンバーのイスには限りがあり、長丁場のシーズンと比べれば不測の事態が起こるリスクも少ないからだ。
しかし、メンバーが限られているからこそ、一人で複数のポジションをこなせる選手は貴重だ。試合に出ていても、ベンチにいても作戦や采配に幅をもたらしてくれる。そんな選手が打てて、走れるとなれば、監督として心強いことこの上ない。
“便利屋”というとあまり聞こえは良くないかもしれないが、チームに必要不可欠な存在。シーズンから日本代表の戦いまでを駆け抜けた今年の外崎の活躍ぶりから、改めてその重要性を再認識させられた。