「2ケタ本塁打・2ケタ盗塁」は11人
球団史上ワーストの96敗を喫し、最下位でシーズンを終えたヤクルト。今年は孤軍奮闘した選手もほぼ見当たらず、契約更改でも主力選手は軒並み減俸となった。
それは中心選手の山田哲人も例外ではない。2年連続トリプルスリーの大偉業を成し遂げ、一時は年俸が3億5000万円まで上昇した山田だったが、このオフは7000万円ダウンの2億8000万円で更改(※金額は推定)。大幅ダウンも「当たり前」と受け入れ、来季の巻き返しを誓った。
今季の山田は自己ワーストの打率.247と苦しみ、24本塁打で14盗塁という成績。トリプルスリーの項目をひとつもクリアできなかった。しかし、山田にとって物足りない数字ではあるとはいえ、最低限といえる2ケタ本塁打・2ケタ盗塁はクリアしているのは流石といったところ。
トリプルスリーの通過点でもある「2ケタ本塁打・2ケタ盗塁」だが、今季は両リーグ合わせて11人が達成している。今回はその顔ぶれを見ていきたい。
【2ケタ本塁打・2ケタ盗塁達成者】
<セ・リーグ>
梶谷隆幸(DeNA)
率.243 本21 盗21
糸井嘉男(阪神)
率.290 本17 盗21
鈴木誠也(広島)
率.300 本26 盗16
坂本勇人(巨人)
率.291 本15 盗14
山田哲人(ヤクルト)
率.247 本24 盗14
丸 佳浩(広島)
率.308 本23 盗13
<パ・リーグ>
外崎修汰(西武)
率.258 本10 盗23
秋山翔吾(西武)
率.322 本25 盗16
今宮健太(ソフトバンク)
率.264 本14 盗15
柳田悠岐(ソフトバンク)
率.310 本31 盗14
上林誠知(ソフトバンク)
率.260 本13 盗12
「20本塁打・20盗塁」は一人だけ
今季ブレイクした西武・外崎やソフトバンクの上林、打撃開眼のソフトバンク・今宮と言った新顔も入ったなか、唯一「20本・20盗塁」を達成したのがDeNAの梶谷隆幸だ。
シーズン20本塁打以上はキャリア初。ホセ・ロペス、筒香嘉智、宮崎敏郎のクリーンナップが注目されたDeNA打線だが、梶谷も2番や6番で大きな貢献をしていたと言えるだろう。
また、規定打席到達で打率3割以上の経験はないが、確実性を増せばトリプルスリーを目指すことも不可能ではない。山田、柳田に負けないポテンシャルを秘めた男だけに、期待が高まる。
優勝チームには複数の達成者が
その他の選手の顔ぶれを見ると、鈴木誠也や丸佳浩(ともに広島)、柳田悠岐(ソフトバンク)、秋山翔吾(西武)と4選手が打率3割を超えている。彼らは梶谷とならんで、トリプルスリーの期待がかかる存在だ。
とくに秋山はキャリアハイとなる25本塁打を達成し、30本塁打に大きく近づいた。来季はシーズン最多安打記録保持者だけでなく、トリプルスリーという勲章が加わるかもしれない。
また、所属を見るとやはり上位チームの選手が目立つ。11名のうち山田、坂本勇人(巨人)をのぞく9選手は、全員クライマックスシリーズに進出を果たしているチームの選手だ。
セ・リーグ覇者である広島からは、鈴木と丸のふたりが達成。日本一となったソフトバンクからは柳田、今宮健太、上林誠知の3選手がクリア。ここで注目したいのはソフトバンクだ。というのも、今宮と上林はクリーンアップを1試合も打っていないのである。こういった選手が、上位打線や下位打線で主軸を支えているのが、王者たる所以ではないのだろうか。
ソフトバンクや広島を見てわかるように『打って走れる選手』が複数揃っていることは、上位進出のために欠かせない要素のひとつとなっている。
来季の「2ケタ本塁打・2ケタ盗塁」の顔ぶれはどうなっているのか。そのチームの躍進とともに注目したいポイントになる。