一家の主となった杉谷が勝負の年に臨む!
12月17日、日本ハムの人気者・杉谷拳士が挙式・結婚披露宴を行った。一家の主となったこのオフは、恒例になりつつあったお笑いコンビ・とんねるずの年始特番の名物企画「リアル野球BAN」への出演もなく、オーストラリアでの単身トレーニングに臨むという。
知名度、人気の上昇とは裏腹に、今季の杉谷は大きく成績を落としてしまった。62試合の出場で打率.240だった昨季の成績に対し、今季は故障もあって35試合の出場にとどまり、打率は2割を大きく下回る.147。来季年俸も今季の2450万円から350万円の減俸(推定)となってしまった。
杉谷にとって、来季はまさに勝負の年。「結婚して成績が下がった…」となっては、愛する妻に合わせる顔がない。
結婚という人生の節目を転機として、飛躍につなげることができるか。今回は昨オフに結婚した選手たちを取り上げてみる。2016年のシーズン中ではなく、昨季終了から今季開幕までの間に婚姻届を提出し、昨季と今季の成績のギャップが大きかった選手を以下にまとめた。
【昨オフに結婚した主な選手の成績】
▼ 野上亮磨(西武)
[2016年] 22試 3勝9敗1セーブ・1ホールド 防3.87
[2017年] 24試 11勝10敗 防3.63
▼ 涌井秀章(ロッテ)
[2016年] 26試 10勝7敗 防3.01
[2017年] 25試 5勝11敗 防3.99
▼ 杉浦稔大(ヤクルト→日本ハム)
[2016年] 17試 3勝2敗 防7.14
[2017年] 5試 0勝1敗 防3.86
▼ 田口麗斗(巨人)
[2016年] 26試 10勝10敗 防2.72
[2017年] 26試 13勝4敗 防3.01
▼ 十亀 剣(西武)
[2016年] 21試 4勝6敗1ホールド 防6.31
[2017年] 20試 8勝7敗 防3.40
▼ 田原誠次(巨人)
[2016年] 64試 4勝3敗14ホールド 防3.46
[2017年] 27試 1勝1敗1ホールド 防2.89
▼ 海田智行(オリックス)
[2016年] 48試 2勝2敗8ホールド 防2.61
[2017年] 50試 1勝3敗15ホールド 防2.78
▼ 梅野隆太郎(阪神)
[2016年] 37試 率.135 本0 点4 盗1
[2017年] 112試 率.206 本2 点33 盗1
▼ 江越大賀(阪神)
[2016年] 72試 率.209 本7 点20 盗4
[2017年] 28試 率.077 本0 点0 盗1
▼ 岡島豪郎(楽天)
[2016年] 127試 率.252 本6 点35 盗7
[2017年] 111試 率.260 本3 点32 盗3
▼ 原口文仁(阪神)
[2016年] 107試 率.299 本11 点46 盗1
[2017年] 73試 率.226 本6 点25 盗0
▼ 高橋周平(中日)
[2016年] 75試 率.251 本4 点29 盗0
[2017年] 41試 率.233 本2 点10 盗0
▼ 木村文紀(西武)
[2016年] 28試 率.167 本0 点2 盗1
[2017年] 105試 率.201 本2 点13 盗7
成績アップ、FA移籍…
昨オフ、野球ファンに限らずとも大きな注目を集めたのが、涌井秀章(ロッテ)と杉浦稔大(日本ハム)、そして今オフに西武から巨人へのFA移籍が決まった野上亮磨の3人である。というのも、それぞれモデル・タレントの押切もえ、当時テレビ東京アナウンサーだった紺野あさ美、紺野も所属していたアイドルグループ・モーニング娘。の元メンバー・石川梨華という有名人が結婚相手だったからだ。
3人のなかで最も大きく飛躍したのが野上。昨季は3勝どまりだったが、今季は自己最多タイの11勝をマーク。オフには今季年俸5000万円から大幅アップの3年総額4.5億円(ともに推定)という高額オファーを受け、ローテーション投手不足に嘆く巨人への移籍も決まった。
一方、メジャー挑戦前最後のシーズンとなった涌井は、リーグワースト3位の11敗を喫し、勝利数はロッテ移籍後自己最低となる5勝どまり。防御率も昨季の3.01から4点台目前の3.99に悪化してしまった。アピールのシーズンとはならず、肝心のメジャー移籍についてもオファーの情報はないままだ。
杉浦は、成績に関しては良くも悪くも大きな変化のないシーズンとなった。防御率は昨季の7.14から3.86に改善したものの、登板試合は17試合から5試合に減少。だが、環境は大きく変化。シーズン途中の7月24日、トレードによりヤクルトから日本ハムへ移籍することが発表された。しかし、移籍後は右肩のリハビリに専念し、実戦登板はないままシーズンを終えることとなっている。
対照的だったふたりの阪神野手
彼ら3人と同じく投手なら、田口麗斗(巨人)が結婚を経て充実のシーズンを送った。今季もローテーションの一角として、昨季と同じ26試合に登板。登板数は同じだったが、10勝10敗だった昨季に対して今季は13勝4敗。勝率は.765と大きく上昇し、得点力不足を露呈しているチームにあって、それでも負けない勝負強さを発揮した。
野手なら梅野隆太郎(阪神)が成績を伸ばした。スタメンマスクを争っていた原口文仁の一塁起用、坂本誠志郎のケガもあり、オープン戦から正捕手の座をつかむと、球宴にも初出場。打率こそ.206にとどまったが、昨季の37試合から112試合に出場試合数を大きく伸ばし、打点は4から自己最多の33に大幅アップとなった。
一方、大きく成績を落としてしまったのが梅野と同じく阪神の江越大賀。昨季は開幕直後に阪神では2009年のブラゼル以来となる4試合連続本塁打を記録するなどインパクトを残し、72試合に出場して20打点を挙げたが、今季は確実性を欠く打撃がさらに悪化。ファームでも打率は.179にとどまり、一軍では1割を切る.077。28試合の出場で本塁打、打点ともに0に終わった。
杉谷をはじめ、このオフにも多くの選手たちのめでたいニュースが舞い込んできている。個人差はあるだろうが、私生活は体調やプレーにも大きな影響を及ぼすもの。果たして、“新郎”たちの来季成績やいかに。
文=清家茂樹(せいけ・しげき)