コラム 2018.01.11. 11:30

「打たせて取る」の究極系 現役最強のグラウンドボールピッチャーは誰?

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西武のウルフ

隠れた好投手を見つける「ゴロ比率」


 投手のプレースタイルは、大きく分けるとふたつに分類される。ストレートやキレのいい変化球を武器として三振を奪う本格派と、主に変化球を駆使して打者を幻惑し、ゴロを打たせて取る技巧派だ。

 どちらも個性であるが、一般的には奪三振の多い投手の方が本塁打を浴びるケースが多くなりがち。実際に歴代最多被本塁打の記録を持つ鈴木啓示は、奪三振でも歴代4位にランクイン。他にも奪三振の通算記録で鈴木を上回る金田正一や米田哲也、小山正明も被本塁打の通算記録でもトップ10入りを果たしている。

 一方で、いわゆる「打たせて取る」タイプの投手は奪三振のように派手な数字として残らない。そのため地味な印象がぬぐえないが、内野の守備などに成績が左右されやすいため、チームの環境が変われば大化けすることもある。

 今回は後者の「打たせて取る」ピッチングを展開した投手に注目。2017年シーズンの成績をもとに、投球結果における「ゴロ比率」の高かった投手をピックアップしてみたい。


外国人投手が多く並ぶ


 対象としたのは、2017年シーズンで100イニング以上を投げた投手たち。このなかからゴロを打たせた確率が高かった投手トップ5をランキングにして紹介する。

▼ 第5位
マイルズ・マイコラス(巨人)
☆全打球に占めるゴロの割合:56.8%

 第5位からいきなり意外な選出。というのも、菅野智之や田口麗斗とともに巨人の先発3本柱を担った助っ人だが、昨季は188イニングを投げて187もの奪三振を記録。最多奪三振のタイトルを獲得しているのだ。しかし、実際はゴロで稼ぐアウトも多い右腕。被本塁打10は、規定到達者ではメッセンジャー(阪神)と井納翔一(DeNA)に次ぐ少なさだった(菅野と同数)。

 マイコラスの特徴として挙げられるのは、ストライクゾーンで勝負しすぎず、際どいコースを投げて打ち損じを狙っていたこと。スライダーやカットボールをうまく駆使して引っ掛けさせたことでゴロの山を築いた。


▼ 第4位
九里亜蓮(広島)
☆全打球に占めるゴロの割合:57.2%

 規定投球回にこそ届かなかったものの、先発・中継ぎとフル回転で9勝を挙げた九里が第4位にランクイン。187センチという長身から投げ下ろすストレートは威力抜群も、どちらかというと多彩な変化球に味があるタイプ。実際にプロ入り4年間で奪三振がイニングを上回ることはなく、今季の奪三振率も7.50と平凡だった。

 広島の先発投手陣を見てみると、薮田和樹以外は軒並み奪三振率が低い。それでも好成績を残すことができているのは、球界を代表する名手・菊池涼介をはじめとする堅実な内野守備の裏付けがあったと見られる。


▼ 第3位
ブランドン・ディクソン(オリックス)
☆全打球に占めるゴロの割合:57.9%

 第3位はオリックスのディクソン。実は2016年もゴロ比率はパ・リーグ1位の63.4%を誇ったように、現在のプロ野球界における屈指のグラウンドボールピッチャーだ。2017年の奪三振率は5.69とかなり低いが、一方で被本塁打もわずかに3。安定した投球のベースとなっている。

 しかし、毎年好投を見せながらも、来日5年で9勝3回に8勝が2回と、未だに10勝の壁を破ることができていない。来日6年目となる2018年シーズンこそ、2ケタ勝利を記録したいところだ。


ウルフの変身ぶり


 助っ人が多く名を連ねるこのランキングであるが、なんとトップ2もいずれも助っ人外国人投手という結果になった。

▼ 第2位
デービッド・ブキャナン(ヤクルト)
☆全打球に占めるゴロの割合:60.3%

 第2位は昨季ヤクルトに加入したブキャナン。6勝13敗、防御率3.66という数字だけ見れば決して良いとは言い難いものの、ヤクルトはシーズン中から翌年以降の契約延長を検討。シーズンオフには2年の契約延長、そして年俸もアップさせるという意外なまでの好条件を掲示した。

 それには「ゴロ率の高さ」という要素があってこそで、チームの守備が安定して打線の援護が噛み合えば、勝ち負けがひっくり返ってもおかしくないようなポテンシャルを持つ投手であるという評価がある。ただし、狭い本拠地もあって被本塁打19はリーグワースト2位。打たせて取る投手らしからぬ特徴がある点は課題になりそうだ。


▼ 第1位
ブライアン・ウルフ(西武)
☆全打球に占めるゴロの割合:63.5%

 そして、栄えある第1位に輝いたのはウルフだった。来日初期のころは中継ぎを任されることが多かったためか速球でゴリ押しするピッチングを見せていたが、先発転向後は変化球を多用するようにモデルチェンジ。日本で3球団目となる西武では、昨季フルシーズン一軍に帯同したなかで上質な打たせて取るピッチングを展開。9勝を挙げる活躍を見せた。

 だが、かつては150キロ台を連発していたウルフも、いま現在は球威の衰えが課題。昨季は11本もの本塁打を献上した。11月に38歳となる今季はどんな投球を見せるか、西武浮沈のカギを握る。


こうしてみてみると、トップ5のうち九里を除く4名が外国人投手。また、ブキャナン以外は複数年にわたって日本で活躍を見せている投手であり、ブキャナンも契約延長を勝ち取った。

 助っ人成功のカギも握る?「ゴロ率」に注目だ。


文=福嶌弘(ふくしま・ひろし)



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