藤田平の安打球団記録に目前
昨年、阪神生え抜きの選手としては藤田平氏以来2人目の2000安打を達成した鳥谷敬。成績面でも、2016年の不振から見事な復活を果たした。
遊撃から負担の軽い三塁へのコンバートも奏功し、結果的に選手生命が延びる可能性もあるだろう。6月に37歳を迎えるが、2000安打に続く、幾つかの個人記録達成にも期待がかかる。
まずは、阪神の球団最多記録となる2064安打まで残り49本に迫っている。これは、今年の早い段階で難なくクリアできるだろう。その後は、通算2500安打が現実的な目標となる。日本のプロ野球界だけで2500安打を達成した選手はこれまで7人だけ。主にショートを守った選手はこれまで一人も2500安打に到達していない。もし鳥谷が今後、シーズン100安打を続ければ、2022年の41歳を迎えるシーズンに達成することになる。
2500安打よりもより現実味がある記録が、元広島の衣笠祥雄氏が持つ連続試合出場記録。鳥谷は昨季終了時点で1895試合に連続出場中で、堂々の歴代2位につけている。このまま休まず、出場を続ければ、2020年5月に衣笠氏の2215試合を抜く計算だ。39歳を目前に大記録達成はなるだろうか。
チームの記録は…
ここまで鳥谷の個人記録を取り上げたが、自身が最も手に入れたい称号は“日本一”ではないだろうか。2004年の入団以来、2度(2005年、2014年)日本シリーズに出場しているが、05年はロッテに0勝4敗、14年はソフトバンクに1勝4敗でいずれも敗退。また、リーグ優勝の経験は2005年の1度しかない。
セ・リーグでは、広島が黄金期を迎え、DeNAも若手を中心に伸び盛り。阪神は、昨季2位だったとはいえ、鳥谷に残された時間はそれほどない。
その鳥谷は、14年に自己ベストとなる打率.314をマーク。15年の.281から16年は.236まで打率は急落。しかし昨季は.293にV字回復を果たした。30代後半を迎え、猛虎打線にはまだまだ必要な存在だと改めて認識したファンも多かっただろう。
今年の阪神は、金本体制3年目を迎え、大物外国人を獲得するなど、“優勝”へ向け、戦力が整いつつある。果たして鳥谷はプロ入り15年目にして、悲願の日本一を味わうことができるのだろうか。もし鳥谷が日本一の美酒を味わわずに引退することになれば、阪神ファンにとってこれほどの悲劇はないだろう。
文=八木遊(やぎ・ゆう)